経営理念が勝利を勝ち取った瞬間
水曜日担当、M1富士の小林です。
私は役職上、市の介護施設整備事業の選定委員になっています。
これは、介護保険の年次計画に沿って、市に施設整備で進出していただく事業者を公募し、各社から提出される、書類を審査し、最終的にはプレゼンで競っていただき、その評点をつけることによって1社に絞り込む作業を行う仕事です。
今回の記事は、先般、行われたある介護事業施設の選定委員会で感じたことについてお話します。
この日の審査は、介護付き有料老人ホームの設置を希望する9社の評価でした。作業的には、1社45分ずつの持ち時間の中で、プレゼンを受け、その後に質疑を繰り返すものですが、社運をかけて挑んでくる事業者は真剣そのものです。
一方、私達、審査委員も、いかに、市民や市外から入居してくる方々が幸せな生活を送り、かつ、家族が、長年面倒を見てもらった肉親の施設入居を決めたことに後悔せず、満足できるサービスを施設が提供できるかを見極める重要な審査となります。
このため、時には質疑が白熱する時もあり、お互いに気を抜けない、せめぎ合いの審査になるので、相当のエネルギーを要することとなります。
各委員の質問内容の役割分担は決めていないため、その場で気づいたことを役職順に質問していくこととなっています。各委員は、提出された資料内の、数値や入所者等への処遇が基準に合致しているかを重点的に聞きますが、私は毎回、最後の発言者になるため、それらの項目は大方、聞き尽くされています。
そのため、私には大概、総括的な質問、或いは残されている厳しい質問をする役割が自然と回ってくることとなります。
今週の委員会で、私が9社に聞いたことは、経営理念の意味の再確認と介護の現場が理念どおりに動いていて、理念が実践されているか、或いは、運営が理念にどれだけ近づいているかの到達度等の質問を行いました。
審査では、どの事業者も書類には綺麗な言葉で経営理念を謳っていますが、それが本物であるかどうかは、プレゼンをする代表者等の生の声を聞けば、そこに鮮明に現れてしまいます。
私は複数の代表取締役や施設長とやり取りをする中で、この人は一体どういう「生き方」をしてきたのだろうかと想像を巡らせながら審査しています。
時には明らかに利益優先の会社もあり、掲げた理念がどこに行ってしまったのだろうと思うような会社もあります。
理念が実践されていない会社にとって私の質問は煙ったいだろうと思います。また、選定委員6人と対峙し、上司も同席する緊張の場面ですから、答えにくい質問は避けたいと思います。しかし、こちらも真剣です。曖昧な回答には納得しません。なぜなら、市民の幸せがかかっているからです。
今回の選定結果で入選した会社は、私がつけた評点の一番高い会社となりました。
その会社は、大手に成長しつつある、40代の若い社長が率いる会社で、社長自身が介護に関する高い専門性を有しています。また、高い経営理念を定め、理念を末端まで浸透させるため、理念を噛み砕いた、職員の五カ条、利用者に対する五カ条を作成し、見事に実践されています。
私と社長との質疑を聞く中で、他の委員も職員が理念に基づき、従業員がいきいきと働き、入居者や家族の笑顔が溢れる施設内での生活の場面が想像できたはずです。
施設のハード面でも評価が高く、結果として、他社を寄せつけない強みを以って、全委員から高得点を得ることができました。
経営理念が現場で実践され、従業員を大切にするこのような会社が、審査での競争を勝ち抜いていくのを目の当たりにして、坂本先生のおっしゃっておられることが現実のものとなっていると肌で感じました。
施設の完成まではあと2年を要することとなりますが、あの若手社長と企業の成長を祈るばかりです。
小林さん
こんにちは!
>坂本先生のおっしゃっておられることが現実のものとなっていると肌で感じました。
大学で学んだことが実践で生かされている様子が伝わってきます。
>あの若手社長と企業の成長を祈るばかりです。
どうか事業が順調に運営できますように・・・・。