真の社会貢献とは?

社会貢献は、寄付などに頼る無償提供で行うと継続が難しく、ビジネスとして成立させるには採算性の確保が難しい。商品・サービスそのものが社会貢献となるビジネスをする、企業の本業とは別にCSR(corporate social responsibility: 企業の社会的責任) のような形で取り組む、あるいはビジネスとは切り離してボランティアとして社会貢献をする、そのいずれがよいのか?

長年にわたって、私が個人的に抱いている疑問です。先日、人財塾二期生の最後の授業となるプロジェクト研究発表会において、株式会社日本レーザー 近藤 宣之 会長からのお話しを通じて、この疑問に対する回答を頂きました。貴重な学びなので、以下に主旨を共有させて頂きます。

社会貢献への関わり方は、ビジネスでもボランティアでもいい。重要なのは、自分がやりたいからやるということであり、その気持ちの源がシンパシー(Sympathy)あるいはリスペクト(Respect)のどちらからくるものなのか?という点である。真の社会貢献は後者でなければならない。

英和辞書による“Sympathy”と“Respect”の意味です。
 - Sympathy:同情、思いやり、あわれみ、悔やみ、同感、共鳴
 - Respect:敬意、尊敬、尊重、重視、注意、関心、顧慮
共鳴(Sympathy)と関心(Respect)など、相手に心を寄せるという点では似たような意味に思われますが、大きな違いは、相手に対する視点です。前者は、上からの目線で相手を捉え(同情、あわれみ)、後者は相手が自分よりも優れた存在として見て(敬意、尊敬)いる点で、明らかなニュアンスの違いがあります。


坂本先生が障がい者雇用について語る時、“障がい者雇用は私たち健常者といわれる者の義務である”と仰います。

「障がいの有無は、その人が努力したとかしなかったこととは無関係だからである。もっとはっきり言えば、障がい者として生まれたかった人とか、障がい児を生みたかったという母親も、地球上に存在しないからである。
 さらに言えば、人間は必ず高齢者になる。そうなれば、本人が好むと好まざるにかかわらず、程度の差こそあれ、障がいと一緒に生きなければならない。つまり、すべての強者は、やがて弱者になる宿命の中で生きているからである。
 こうして考えれば、企業や、そこで働く健常者である強者が、障がい者や高齢者の幸せをつねに心し、応援しなければならないのは当然のことであり、それが正しい生き方である。さらに言えば、そうした企業こそが、高い評価を受ける社会こそが、望ましい社会なのである。」
「人を大切にする経営学講義」坂本光司著 PHP研究所 より転記)

社会貢献として“何をやるか”よりも、どのような心で取り組むのかという“「あり方」が何よりも大切なのだ”と、ここでも実感しました。

今回のブログを書くにあたって関連事項を調べている際に、感銘を受けた出光興産の創業者 出光佐三氏の言葉を見つけました。こちらも、是非、ご一読いただくと良いと思いますので、以下にURLを転記します。
「人権尊重と人間尊重とは相異する」
https://www.idss.co.jp/enjoy/history/idemitsu/founder/archive/65.html

人を大切にする経営学会人財塾生 松久 知美

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