坂本光司先生の経営学:企業の「あり方」について(2)
坂本先生の著作について、勉強し直しています。
坂本先生は、著書 “経営者のノート”のなかで「1)企業の“あり方”について、2)経営者の“あり方”について、3)企業の“やり方”について、4) “企業と社員”について、5) “正しくある”ことについて」それぞれ指針を示されています。
今回も、そのなかから「企業の“あり方”の一部」をご紹介させて頂きます。
1.企業の“あり方”について③
●経営には、時代の変化に合わせ変えるべきものと、時代が変化しても決して変えてはいけないものの2つがある。
坂本先生は、こう述べられています。「企業経営においては、環境の変化に合わせて変えるべきものと、決して変えてはいけないものがある。“変えるべきもの”とは、商品の生産・販売の技術、組織、ビジネスモデルなどに関する経営戦略や経営戦術である。“変えてはいけないもの”とは、企業経営の“あり方”の部分であり、その組織の存在目的である”経営理念に基づく経営の実践”である。
しかし、変えるべきことを変えず、変えてはいけないものを変え、窮地に陥る企業があまりにも多い。」
私は、過去に経験したことを思いだしました。「以前 私が所属していた企業でのことです。高齢になってから認められ社長になられた人がいました。その社長は実力のある方で、企業の存在目的(あり方)を的確に把握し、次々と新たな取組みを実践し成果を出されました。その後引き継いだ若手の“後任社長”は、前任社長の経営戦略・戦術を変えることなく継続し続けました。しかし、その時には事業環境も変わり業績が落ちていきました。慌てて対応策の検討を始めましたが、対策が遅れ業績は回復せず、その“後任社長”は責任を取り退任することになりました。」
事業環境などが変化していることに気づかず経営戦略・戦術を変えなかったことが業績低迷の最大の要因だったように思いますが、このようなことがおこるのは“社長が変わったとき”が多いのではないでしょうか‥。
2.企業の“あり方”について④
●企業は企業それ自身のために存在するのではなく、企業に関わる人々のために、社会のために存在する。
坂本先生は、こう述べられています。「企業は、企業それ自身のために存在しているのではなく、“その企業に関わる人々の幸せづくりや社会の発展のために存在”している。しかし、時間がたつに従い“組織それ自身の保身と存続のため”に勝手に走りだす。」「企業のリーダーは、常に“私たちの使命は何か”を問いながら経営をしなければならない。」
私は、残念ながら‥多くの企業・組織が“組織それ自身の存続のために”活動しており、(坂本先生の言われるような)”その企業に関わる人々の幸せや社会の発展のため”に存在している企業はまだまだ少ないと個人的には感じています。
“その企業に関わる人々の幸せや社会の発展のために活動する企業”が増えれば、その企業の社員や家族だけでなく、その企業と取引をする企業の社員や家族、その企業の地域の人々の幸せへとつながっていくと思っています。
1人でも多くの企業や組織のリーダーに、坂本先生の考えや“人を大切にしている会社”の存在を知って頂き「自分の企業を“人を大切にする企業”にして頂きたい」と心から願っています。
人を大切にする経営学会 人財塾2期生(合同会社VIVAMUS)中村敏治
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