浜松市のセイブ自動車学校、早川社長
浜松市のセイブ自動車学校、早川社長
日本でいちばん大切にしたい会社大賞受賞企業
早川さん、最後の坂本光司ゼミ生、同じ考え方の井上善海先生に学び博士論文を提出する予定だ。
法政大学大学院政策創造研究科の上山肇先生が研究の一環で訪問したり、井上先生がご子息を連れて学びに来たり、人財塾生の大橋弘子さんも学びに来ている。
最後の坂本ゼミ生は結束がよりまとまっていた。
坂本光司、人を大切にする経営学会会長が「もっと人を大切に会社」で触れているように、法政大学大学院政策創造研究科は学び易い風土がある。
昨年9月の人を大切にする経営学会前に学ばせていただいた教授陣と事務局のみなさんにお礼の挨拶をさせていただいた。
まもなく博士になると思うが勉強をするのは小学校4年までしか行っていなかったからで勉強をしたいから。
テーマは、ブラジル人、ベトナム人が日本人と同様に同じ給与等を得て安心して暮らせるかだ。
日本の人口が減少しているので外国人を増やす必要がある。
教習所の三食の食事が美味しい。おふくろの味だ。
人を大切にする経営学会、坂本光司会長の日本でいちばん大切にしたい会社8に掲載されている。
名古屋市の易経研究家の竹村亜希子先生と訪問させていただいた。
教習生も17日間の教習生生活から運転免許証と共に人生の学びになるだろう。
竹村先生も私も優しく温かい2時間を満喫して浜松を後にした。
涙涙の早川さん物語
東洋経済のオンライン記事から
静岡県セイブ自動車学校
先行きが見えない時代、企業によっては、生き残るためリストラを余儀なくされるケースもあるようです。しかし、40年以上にわたって8000社を超える企業研究・現場調査をしてきた経営学者の坂本光司氏によると、中小・中堅企業、また地方の企業であっても数々の困難を乗り越えてきた会社は、必ずと言っていいほど「人にやさしい経営」を行っているといいます。そんな企業の1つである「静岡県セイブ自動車学校」について坂本氏の著書『日本でいちばん大切にしたい会社8』より抜粋して紹介します。
浜松駅から車で30分ほど走った浜名湖の近くに、全国各地から注目されているユニークな自動車学校があります。緑豊かな場所にあるこの自動車学校の敷地面積は1万5000坪という広大さで、メインの教習コースは直線でなんと310メートルもあります。全国の自動車学校のなかで、最も長い直線教習コースです。これが静岡県セイブ自動車学校です。
統計を見ると、2000年に1508校あった自動車学校(指定自動車教習所)は、2021年の末には1300校に激減。この22年間で208校、率にして14.8%、大幅に減少しました。つまり、毎年47都道府県のどこかで、9校もの自動車学校が倒産、あるいは廃業していることになります(警察庁「運転免許統計」)。
そのなかで静岡県セイブ自動車学校は、ゆっくりではありますが着実に業績を伸ばし、社員数も100人を超える企業にまで成長しました。
幼少期からの苦境を胸に、やさしい経営を追求
この会社が「人にやさしい経営」を行う背景には、社長である早川和幸さんの、幼少のころからの想像を絶する体験がありました。
早川さんの母親は、早川さんが小学4年生のときに家を出ていき、二度と戻ってくることはありませんでした。父親は3人の子供を浜松市の郊外(旧浜北市)に住む姉夫婦に預け、自分は浜松駅近くの肉屋さんに住み込みで働くことにしました。
しかし子供たちは次第に叔母夫婦から疎まれ始め、妹や弟は大声で叱られるようになります。「これ以上この家にいたら、妹や弟があまりにかわいそうだ」と思いつめた早川さんは、幼い妹と弟の手を引き、父親のもとを目指し、叔母夫婦の家を飛び出すようにして出てきたのでした。
このような自身の体験から、早川さんは親と別れて暮らす子供への支援を心に決めます。
児童養護施設で育った子供たちが就職できない現実
静岡県セイブ自動車学校の経営者となった早川さんは、児童養護施設で育った子供向けの「自動車免許取得支援制度」を創業と同時に創設しました。なぜ自動車免許の取得を支援するかといえば、18歳で施設を出なければならない子供たちのほとんどが、手に職もなく、資格なども取得しておらず、なかなか就職できないという現実を知っていたからです。
だから、自動車免許の取得を望んでいる子供たちがいれば、自動車学校を経営する者として、ひとりでも2人でも無償で受け入れようと考えたのでした。
「自動車免許取得支援制度」は、浜松市内にある2つの児童養護施設で生活し、自動車免許の取得を希望する全ての子供たちが対象です。
免許の取得にかかる費用は、人によって若干異なりますが、一般的には30万円前後です。この21年間で50人近い子供たちの自動車免許取得を支援してきたので、金額でいえばおよそ1500万円にもなります。
ちなみに静岡県セイブ自動車学校では、この子たちに肩身の狭い思いをさせないために、養護施設の入所者であることはだれにもわからないよう接しています。そうした早川さんたちの思いは、この子たちの心に、十分すぎるほど伝わっていることでしょう。
早川さんが地域で暮らす人々のために行ってきた取り組みは、これだけにとどまりません。
浜松市は全国有数のモノづくり地域であると同時に、海外に拠点を有する企業が多いということもあり、特に外国人が多い都市として著名です。とりわけ多いのはブラジル人で、現在では9500人となっており、全国で最もブラジル人が多く暮らしています。
ブラジル人は、最初はバスや電車、自転車や徒歩で通勤していましたが、所得が増加するとともに生活圏も拡大し、マイカー取得のニーズが高まってきました。
そこで早川さんは、地域のブラジルの人たちに免許を取得してもらうことを考えたのでした。しかし外国人にとって、免許証の取得は容易なことではありません。日本語も片言の方が大半であるうえ、自動車学校のほうにもブラジル人とコミュニケーションがとれるスタッフがいなかったからです。
第一、筆記試験問題も解答も日本語が前提です。早川さんは、とにかく行政の理解を得なければこのサービスは進まないと考え、公安委員会に出向いてブラジル人の生活実態を詳細に説明し、運転免許証取得支援の必要性を何回も何回も訴えました。粘り強い交渉と説得力ある資料説明の結果、ついに2010年、ポルトガル語での筆記試験が可能となりました。
早川さんは、次は受け入れ態勢の整備をしなければと、ポルトガル語で対応できる窓口のスタッフと、教員(指導員)の確保に動きます。もちろん、募集すればブラジル人を運転指導する教員が応募してくる、というわけではありません。だから早川さんは、ふさわしいブラジル人を探し、採用し、時間をかけて育てました。現在ではブラジル人の指導員(教員)が3人、窓口スタッフも1人在籍しています。
ちなみに、静岡県セイブ自動車学校で自動車免許証を取得するブラジル人は、年間、なんと450人から500人もいます。わざわざ県外から自動車免許証を取得するために浜松に来るブラジル人も増えています。
大学院に入って社会人学生になった理由
最後になりますが、早川さんには今、法政大学の大学院博士後期課程に通学する社会人学生という肩書もあります。
早川さんが大学院に通い、中小企業経営の分野で著名な井上善海先生に師事しているのは、博士号を取得するためではありません。幼少の頃、若かった頃は環境がきわめて厳しく、時間的・経済的な理由で大好きな勉強が十分できなかったからです。
そして、もうひとつの目的は、自分のような境遇で生きてきた人間でも、努力をすればいつの日か報われるということを、多くの人に証明したいからです。
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