【No297『すべては社員のために がんばらない経営』著者;加藤 修一;いい書籍紹介】
今回は2013年3月の「第3回日本でいちばん大切にしたい会社大賞」にて実行委員長賞を受賞され、2015年9月に開催された「人を大切にする経営学会 第二回全国大会」において“がんばらない経営”をテーマとして基調講演をされた株式会社ケーズホールディングス加藤修一代表取締役会長(当時)の書籍をご紹介させていただきます。
『すべては社員のために がんばらない経営』著者;加藤 修一 かんき出版 2011年発行
●章立て
第1章 経営は終わりのない駅伝競走
第2章 会社はゆっくり大きくするもの
第3章 会社は脱皮してこそ成長する
第4章 会社を強くするのは人の力
あとがき
巻末資料(会社の沿革/長期財務データ)
●迷ったら損するほうを選べ(創業者であり父;加藤馨氏の教え)
事業の現場では儲けることが当然です。ましてや目の前にお客様がいたり、確実に売れることが見込まれるときに、“売らない判断”はなかなかできるものではありません。しかし創業者の父、加藤馨氏の姿勢は違っていました。それは“迷ったら損するほうを選べ”
一見不親切だと思う判断でも長い目で見たらどうか、お客様の目でみたらどうか、父の判断は結果としていつも間違っていなかったと言います。
例えば、職域販売を中止したこと。ある会社の職場に通って独占的に販売すれば売上は上がりますが、お客様の住居は県全域になることでアフターサービスが十分できないと判断。遠方販売の可能性がある職域販売を中止しました。同様な理由でお店での販売においても遠いお客様には販売しなかったと言います。
●経営は終わりのない駅伝競走
“経営者はたすきを受けたランナーに過ぎない。次のランナーにたすきを渡すために努力している。従って、会社を継承する人財を育てバトンタッチすることが経営者の役目”と言います。会社を永続させることが経営者の最大の使命です。一人で走るマラソンであってはならないのです。
●印象的だったお話
企業は常に100%の力を出し少しでも業績を伸ばすことを求められているという意見がある中、以下のようにお話されました。
“経営とはどのような状況にあっても対応できる余力や選択肢をもっていなければならない。会社は急に大きくすると寿命がきてしまう。寿命がこないように会社はゆっくり大きくするもの”
●最後に
同社は社員が1番、取引先が2番、お客様は3番、最後に株主であることを明確にしています。
同社のがんばらない経営は、ノルマなし残業なしと言えば社員に甘いのではと誤解されがちですが、安定的な成長は社員が成長することで支えています。
同社の“やるべきこと”と同時に“やらないこと”を明確にしている経営は印象的でした。経営者の言動は多くの社員の生活に直結していますから、多くの経営者がその在り方を明確にして、選ばれる経営者になってほしいと思います。
***補足***
この投稿では「法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室」や「人を大切にする経営学会」での経験をもとに毎週火曜日にお届けしております。個人的な認識をもとにした投稿になりますので、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(人を大切にする経営学会会員;桝谷光洋)
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