日本が20年以上 連続世界一の指数とは

先日ある方から面白いお話をお聞きしました。GDPがドイツに抜かれ、インドにも抜かれることが確実になっているなか日本が20年以上連続で世界一を独占している指数があります。ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、その指数とは「経済複雑性指数:ECI(Economic Complexity Index)」という指数です。経済の複雑さのレベルを数値化したものであり、GDPのように生み出した物の量ではなく、物を生み出すための能力の高さを数値化しています。ちなみに2位がスイス、3位がドイツです。

ジェトロのWEBには「ECIは、輸出構成の多様性や複雑性に基づいて算出されている。複雑で専門的な生産ノウハウを多様に有する国は、多様で洗練された製品の生産が可能だ。複雑性がその国の所得水準予測を超える場合、その国は高い成長を遂げると予測される(ハーバード大学による定義)とあります。

 つまり、日本は高度で特色のある工業製品を世界に輸出し続けているのです。そう考えるとなぜ、失われた30年となってしまったのか。いささか論理の飛躍となりますが、やはり経営の失敗と言えるのではないかと考えられます。収益性、短期的、合理的、経済的というキーワードは複雑性とは反対の意味に受け取れます。つまり、複雑性を維持したまま、グローバル経営の手法論に走ってしまったことが要因の一つと言えるのではないでしょうか。しかし、未だ日本は複雑性世界一を維持しています。そのような国民であれば、人口減少の時代において新たな輸出品、新産業の創出、働き方に関しても外国人の就労や個人の人生に合わせた仕組など多様性を追求し、日本独自のモデルを創造できるでしょう。その結果、日本は新たな形で経済発展を遂げることができるのではないでしょうか。まさに人を大切にする経営が日本の複雑性を活かすカギになりそうです。折角の世界一ですから活かし次の世代に引き継いでいきたいですね。(人を大切にする経営学会 事務局次長、サクシード代表 水沼啓幸)

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