SNSから社員を守る
最近、SNS上の誹謗中傷により、命を失うなど人生が大きく狂ってしまうケースをよく見聞きするようになりました。SNSは、直接面識のない人と繋がったり、意見交換ができたりと大きなメリットもあります。一方で誹謗中傷や、いじめの温床ともなります。ネット上のことなのだから、SNSに接しなければ良いでは無いかという意見も耳にしますが、WEB上だけで済む話ではなくなっています。
一度、WEB上で晒されると、その人個人の特定に止まらず、住所、勤務先、家族構成、エスカレートすれば子どもの通う学校、学年、クラスまでが特定されてしまう場合があります。自分は、特定されるような情報は上げていないと思っても、今は顔写真の黒目に映る情景等を手がかりに、その写真が写っている場所が特定されてしまったりします。
自分は正しいことをいっているだけだと思っても、反対意見の人が上手く誘導して、批判的に炎上してしまうこともあります。
アメリカ大統領のトランプ氏は、SNSのファクトチェックは不要である、言論の自由を守るためにファクトチェックをするべきではない、といっています。つまり、本当か嘘かは、それぞれの個人が考えなければならないということです。
もちろん、社内の秘密情報を漏らすようなことをしてはいけないのは当然です。それだけにとどまらず、匿名だし、会社名も分からないから大丈夫!などと過信し、同僚の悪口をXなどに記載したとしても、何らかの方法で会社名が分かってしまったり、投稿した人、悪口を言った相手が特定されることは十分あり得ることです。
したがって単に会社の機密情報、個人情報を漏洩してはいけないというだけでは、SNSの対策にはならないのです。
プライベートでのSNSの使い方も含めて、社員も交えて、利用方法を十分に議論し、できるだけリスクの少ない利用を心がけるようにすることが大切です。
このように社員間で、SNSの危険を十分に共有し、使い方を学ぶことが、ひいては会社を守り、社員を守ることになると思うのです。
(学会 法務部会 常任理事 弁護士山田勝彦)
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