二枚舌の交渉をしたたかにできるか日本政府
連日、アメリカトランプの関税で、15%上乗せといった話で、日本政府との合意において齟齬があるかどうかと話題になっています。
何れにしても、こんなにコロコロと国に方針が変わる国と付き合うには本当に大変だと思います。下記は、アメリカの自動車の生産能力の推移を表したものですが、現在、30年前の6分の1になっています。トランプは、アメリカ製造業を復活を旗印に元に戻そうとしているのですが、簡単に戻るはずがないでしょう?

また、多くの方が想像できると思いますが、アメリカ人は、日本人ほど勤勉に働くかと言えばそうではないと思います。そして、これも、多くの方が感じている通り、アメ車が売れないのは、輸出相手国の事情や顧客のニーズに合わせて改良するといった努力を怠っていたことが真因であり、決して関税ではありません。
米国のドナルド・トランプ大統領が就任して6カ月が経過し、同氏の支持率は、7月に実施されたギャラップ調査(7月7~21日実施)で37%と、就任以来最低となったが、その他の世論調査では、40%台半ばで支持の底堅さを示している。
「ウォールストリート・ジャーナル」紙は7月25日、トランプ政権などに関する世論調査結果(注1)を発表した。それによると、トランプ氏の支持率は46%で、4月調査時(46%)から変化はなかった。不支持率は52%と、4月(51%)から1ポイント上昇したものの、同氏への支持は底堅いという見方を示した。経済対応への支持も44%で、4月(44%)から変化がなかった。ジェトロビジネス短信より引用 https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/07/554baba1ad7a6c89.html
トランプの支持率が一定以上落ちない背景には、強力で資金力もある白人主義の支持層があると言われています。基本的にはスキンカラーの違いでの差別的な思想です。
1941年、アメリカ合衆国は日本によるハワイの真珠湾攻撃を受け、第二次世界大戦に突入しました。主だった政治家たちは、根拠もないままに、アメリカ西海岸地域に住む日本人の血を引いた者達はすべて、国家安全に危険を呈するものだと主張しました。“軍事上の必要性”という名目で、アメリカ政府はその市民と年老いた移民の親達に、自宅からの強制立ち退きと、武装兵に見張られた収容所での強制収容を命じたのです。https://nikkeijin.densho.org/
同じ同盟国として、大戦中のドイツ人、イタリア人といった白人には、財産を没収して収容所といった扱いをしていないことを考えると、複雑な気持ちになります。
トランプ政治は「残酷さこそが狙いだ」と言われている。彼は1日、フロリダ州に新設された移民収容施設を視察し、ご満悦だった。施設には動物園が類人猿用に使ったとしても非難が殺到しそうな「おり」が並ぶ。
日本経済新聞社2025年7月11日記事より引用https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB099UE0Z00C25A7000000/
アメリカでは、全てではありませんが刑務所は民営化されています。つまり、移民を送り込めば送り込むほど刑務所の収益が上がる仕組みであり、その収益の一部がトランプへの献金といった噂もあります。
多くの国がトランプに振り回されていますが、その中でもカナダに対しては、税率を25%から35%に引き上げて8月から適用されています。
カナダが唯一、一人立ち上がった国で、アメリカと決別の道を選んでいます。
今後、カナダが民主的なリーダーとして人道支援等の道を行うことで、今まで、アメリカが世界の中で果たしてきた役割の受皿になる可能性も考えられます。
カナダはアメリカ同様に、天然資源が多い国です。アジアに送っていたものを余るので、7月の完全の締め切りと言われるときに、三菱商事はいち早く買っています。ある意味、アメリカを外して、自由貿易社会外しが進んでいるとも言えます。
現在、アメリカのGDPは世界全体の約25%を占めています。一方、中国のGDPが約18%、インドやアフリカを入れるとアメリカのGDPを上回ります。つまり、アメリカを外しての自由貿易でも十分に補える可能性があるということです。こうしたことを考えると、アメリカは日本の同盟国といいながら厳しい要求を付きつける国に対して我慢してまで付き合い続けるのかは疑問です。
一方、日本企業の立場からすると、アメリカよりも全ての基準が高いヨーロッパ諸国他に貿易の活路を求めるとなると、その基準をクリアするためには、より高いクオリティーその他の向上が求められることになります。
坂本学会長は、「いい会社になりたければ、いい会社と付き合え」と言われますが、国も同じです。コロコロ方針が変わり、ディールばかり仕掛ける国とまともに付き合っていていい国にはなりません。
かといって、日本がアメリカとケンカするわけにもいきませんので、二枚舌を巧妙に使いながら、新しい道を模索するのが現実的ではないでしょうか?その手腕が今の政権にあるかどうかは別として・・・ 藤井 正隆
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