インフレ時代の企業経営
先日学会のEMBAプログラムの夏合宿にて今年は九州の企業を訪問しました。その中の1社に日本でいちばん大切にしたい会社大賞・経済産業大臣賞を受賞している「生活協同組合コープみやざき」を訪問しました。当組合は顧客の要望を徹底して聞き、実現するスーパーで、「電池1個」や「りんご半分」にしての販売など顧客のニーズに応じて店員が対応しています。地域内での組合員比率は57.5%と脅威の加入率を誇っています。今回もコープみやざき・花が島店を訪問し、元理事長・真方和男顧問にお話をうかがいました。そのお話の中で塾生からの質問に真方顧問が以下のお話をされました。
「皆さん、インフレ時代の方が経営はやりやすいのですよ。経営学はインフレを前提にした理論が多いです。これを知っていればデフレ時代よりも経営はしやすくなるはずです。私が経営していた間はデフレ時代真っただ中だったため、物価も賃金も上がりませんでした。そのため、経営を上手くいかせるには、いかにコストを管理するかが上手くいかせるために大事な取り組みになります。したがって、取り組みの自由度も限られます。しかし、これからはモノの値段や賃金が上がっていくでしょう。そのため経営していくにあたってはいろいろな選択肢が増えます。取り組みの選択肢が増える分、デフレよりインフレの方が経営しやすいのですよ。」
この話を聞いた際に大きな私は衝撃を受けました。私は社会に出た時、既にデフレ時代でしたのでインフレの時代を知りません。そのため、モノの値段や賃金が毎年上がっていくということは環境が大きく変わり、経営は難しくなるものだと感じておりました。しかし、環境変化への対応は必要になるが、全体の価格や賃金が上がっていくことは企業にとってマイナスばかりではない。むしろ、いろいろな取り組みや選択がしやすくなり、自社の独自性をより出しやすくなり、価格が上がっていくことで利益も上げやすくなるのだと。
まさに「あり方」は変わらないが「やり方」は変わる。まさに人を大切にする経営をどう実践するか、経営者は問われていると感じた出来事でした。
(人を大切にする経営学会 事務局次長 株式会社サクシード代表取締役 水沼啓幸)
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