「上毛カルタ」に学ぶ人を大切にする経営
「ぬ」:「沼田城下の塩原太助」
中学生の娘と沼田市に行った時に不意に言われましたが、直ぐに返せました。
「上毛かるた」という群馬県で育った人なら誰もが親しんでいる、群馬県の歴史や自然、偉人たちの功績を詠んだ郷土かるたです。群馬県民の子供から大人まで愛されています。
「塩原太助」は何をした人?娘の質問に全く答えられませんでした。
塩原太助は、江戸時代中期に群馬県北部の沼田市で農家に生まれ、若くして江戸へ奉公に出た人物です。薪炭商として大成功を収めましたが、彼が真に評価されたのは「商才」よりも「人を想う経営の心」でした。
太助は、自らの成功を故郷と仲間に還元しました。沼田出身者が江戸に出てきた際には、宿を用意し、仕事を世話し、生活の基盤を支えたと伝えられています。困っている人がいれば無利子でお金を貸し、決して恩を押し付けることはしませんでした。
晩年は故郷に帰り、私財のほとんどを故郷に捧げました。夜道を照らす灯篭を建てたり、道路を整備したり、橋を架けたりと、社会貢献活動に人生を捧げました。
彼の死後、明治の天才落語家であった三遊亭圓朝が『塩原多助一代記』という創作落語にして披露したことで、塩原太助の名前は世間に知れ渡りました。
奉公人の太助が誠実に働き、やがて立身出世を果たし、恩人や故郷に恩返しをする姿が描かれます。笑いと涙を交えた人情噺で、明治天皇の御前でも上演されました。
「人を助けることが自分の喜び」と言う太助の利他の心は、人を大切にする経営に繋がっていると思います。
上毛カルタの一枚の札から「人を大切にする経営」につながるとは思いもよりませんでした。時間があれば、自分の廻りの歴史を調べてみるのも思わぬ学びに出会えますよ。
人財塾7期生
関東いすゞ自動車株式会社 遠藤雅宏

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