新入社員の社員教育の意味

社会に出ると、正解は誰も教えてくれず、正解を求めても何が正解か分からないこともよくあります。新人の弁護士に法律相談の内容を伝えて、これはどうすればよいか、と質問をすると、一所懸命裁判例や文献を調べて、「●●ではこう書いてあるので、その問題の解決は無理です。」と答えてくることがあります。しかし、実務では、その先をどうするかが重要であり、答えがあったから、それで終わりにはなりません。

戦後教育を受けてきた私たちは、良くも悪くも学校で正解思考を求められてきました。つまり正解を探す作業です。確かに数学などは、正解への道筋は色々あり、その道筋は、自分で考えているので、独自に考えているともいえます。しかし、これも、結局は正解を求めているに過ぎません。

では社会人にとってどのような能力が必要なのかといえば、最近の書籍等で言われている「問題発見能力」ではないでしょうか。

会社では、目標を与えられます。しかしそれ以外の知恵は、集積された諸先輩方の経験値はありますが、他にはありません。自らその目標を達成するために何が必要か、つまり課題解決のために何が必要かという問題(仮説)を設定し、それを進めていく能力が問われているのだと思います(問題発見能力)。

このような能力は、確かに理系や人文でも社会科学系の論文等では、仮説→証明という形で大学卒業間際に経験することもありますが、ほとんどの学生は、それ以外子どもの頃から大学を卒業するまでの間に経験することはありません。

そして社会人になると、突然、問題発見能力が問われてくるのです。

新入社員の社員教育は、この問題発見能力をいかに育てるのかにあるのではないでしょうか。

外山滋比古氏は、「新版思考の整理学」の中で、正解を求める学校教育は、風に乗るだけのグライダー能力であり、自ら飛行する飛行能力は今の日本の教育ではほとんど鍛えられていないという趣旨のことを書かれています。

新入社員の社員教育は、今まで学校では十分に教えてこなかった自らの飛行できる飛行能力を育む重要な機会なのだと思います。

(学会 法務部会 常任理事 弁護士 山田勝彦)

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