「ビジネスと人権」とは正に人を大切にすること
「ビジネスと人権」は、2011年に国連が「ビジネスと人権に関する指導原則:国際連合「保護、孫等及び救済」枠組実施のために」(以下、「指導原則」といいます。)が発出されたことから始まります。
「ビジネスと人権」というと、グローバル化した企業がサプライチェーン全体において人権を尊重する責任をもつことだと理解されています。
しかし、国際的なサプライチェーンにかかわらず、企業内においてもこの原則が適用されます。
指導原則の一般原則bに、企業の責任が記載されています。
「特定の機能を果たす特定の社会的組織として、適用されるべきすべての法令を遵守し人権を尊重するよう求められる、企業の役割」
法令遵守は当然として、「人権を尊重するよう求められる」とされています。
人権を尊重するというのは、まさに人を尊重することです。
では、この「尊重」とは何かということが問題となります。
例えば、経営者は、社員の人権を尊重することが求められます。これは権利を侵害していないというだけでは足りず、「尊重」することとなっています。
尊重するということは、社員の言い分に従うことか、といえば、そうではないでしょう。社員も時には、周囲のことを無視しして我が儘なことを言うかも知れません。社員の言い分を全て聞いていたら組織は成り立ちません。
では、尊重するとはどういうことか。言い分に従うのではなく、十分に社員の言っていることを「理解する」ことだと思うのです。理解した上で、その社員の言い分が、他の社員やお客様、その他のステークホルダーに対して負担や悪影響を与える可能性がある場合には、その言い分を理解した上で、Win-Winの解決策を見いだすか、もし解決策が見いだせない場合は、ちゃんと説明をし、今度は社員に経営者の言い分を「理解してもらう」ことが必要となります。つまり、対話、ダイアログです。
尊重する前提には、理解があり、その手段は、ダイアログである。誤解を恐れずにいうと、人を尊重するとは、その人と十分なダイアログをすることだと思うのです。
そう考えると、人を大切にする経営者の方々が、社員一人一人とのダイアログをとても大切にしていることに気付かされます。
人を大切にする経営を実践されている方々は、人権の尊重も実践されているのです。
(学会 法務部会 常任理事 弁護士 山田勝彦)

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