「人を大切にする経営学用語事典」の用語紹介

【安全余裕率(MS比率) 】

 安全余裕率(MS比率)は、売上高が損益分岐点売上高を上回る程度を示す比率のことで、経営安全性の指標である。「(売上高-損益分岐点売上高)÷売上高」の計算式により求められ、損益がゼロとなる売上高までの売上低下の余裕を表すので、安全余裕率と呼ばれている。なお、MSはMargin of Safetyの略である。

 これまでの経営学では、この比率が大きいほど(売上高が損益分岐点売上高を上回れば上回るほど)赤字になりにくいことを示すことから、安全余裕率が高ければ高いほどよいとされていた。

 しかし、人を大切にする経営学では、安全余裕率と他の指標とのバランスが大切であると考えられている。損益分岐点売上高は、費用を変動費と固定費に分解して計算される。変動費は主に商品仕入高、材料仕入高、外注費等である。これらは仕入先や外注先等に支払われる対価であり、その一部は社外社員に支払われる給与等となる。また、固定費のうち大きな割合を占めるものは人件費であり、社員に対する対価である。

 安全余裕率を高めるための方策として、損益分岐点売上高を引き下げる方法があるが、それは変動費率を引き下げ、固定費を削減することとなる。それでは社員とその家族、社外社員とその家族を犠牲にすることになってしまうのである。

 また、売上単価を高くすることで安全余裕率を高めることができるが、過度な値上げは顧客に無理な負担を強いることとなり、リピート率の低下にもつながりかねない。

 従って、安全余裕率も営業利益率や経常利益率等と同様に、「五方良しの経営」の観点からバランスのとれた適正な率が望ましい。

(第10章「財務に関する用語」より)

 

 

貴社の安全余裕率は、誰の安心を守っていますか?単に利益を厚くするための数字ではなく、社員や取引先、顧客を守る余裕になっているかを問い直したい指標です。数字の背景にいる人を見据える姿勢が欠かせません。

 

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(「人を大切にする経営学用語事典」編纂事務局 有村 知里)

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