障がい者の差別に違憲判決

令和8(2026)年2月18日、保佐人を含む成年後見制度を利用している者が警備業に就けないとされた旧警備業法に違憲の判決が出ました。

尊属殺重罰規定が違憲となった1973年から、14件目の憲法違反判決となります。

既にこの差別的な警備業法は改正されていますので、今は問題になっていません。

しかし訴訟を訴えた本人は、2017年3月に退職を余儀なくされて裁判を起こすことになりました。約9年かかってやっと憲法違反の判断が確定したことになります。

大変遅い解決であり、司法にかかわる者として改善していくべきと思いました。

なお最高裁判決では、第二審の名古屋高等裁判所で認められた精神的苦痛による賠償請求の50万円については、認められませんでした。

なぜ認められなかったのでしょうか。

法改正には一定の時間がかかるので、国会が違憲状態になったのを知ってから長期間放置した場合に限り損害賠償が認められます。

最高裁は、警備業法が成年後見制度を利用している者を警備に就くことができないと警備業法が定めた時は、違憲ではなかったとしました。その後、社会において、障がい者に対する理解が進み、本人が退職を余儀なくされた2017年頃には、この規定は違憲状態になっていたものの、国会が長期間放置したとまでは認められないので、賠償請求は認めないとしました。

裁判のことを、学会ブログに書くか悩みましたが、少し説明をさせてください。

憲法違反の判断は、最高裁判所の大法廷(15名の裁判官)で行われます。その他の事件の多くは5人ずつの裁判官による小法廷で判断されます。

今回、15名の裁判官全員が警備業法を違憲と判断しました。ただ最高裁の判決においては、各裁判官がそれぞれ意見を判決上で述べることができます。今回の裁判では、5人の裁判官が反対意見を書きました。反対の裁判官は三浦守氏、尾島明氏、宮川美津子氏、高須順一氏、沖野眞已氏の5人です。

反対の意見は、5人とも本人に損害賠償を認めるべきというものでした。

たとえば、三浦守裁判官の意見は次のようなものです。

国会において、1999年には、成年後見人等で資格を認めないとしていた116件の規定について、見直しを行うべきという附帯決議(平成11年附帯決議)が出されていました。その点を重視し、その後、国会は20年近く、適切な対応を怠り、長期間放置したと結論づけました。もし改正されていたら、この事件は起きなかったということになります。

この三浦守裁判官は、2022年6月17日の原発事故をめぐる国の責任について、賠償を認めなかった多数意見に対し、ただ一人、国に賠償を認めるべきとの意見を述べた裁判官でした。

三浦守裁判官は、元検察官ですが、最高裁判事の就任のあいさつでは、「当事者たちの話に耳を傾けるということはこれまでも大切だと思って基本にしてきたつもりであります。そういう意味では,最高裁判所ということになりますと法律審ですのでレベルの違うところはありますけれども,当事者の主張に耳を傾けるということは大事にしていきたいと考えています。」と語っていました。

https://www.courts.go.jp/about/topics/miura_syuuninkaiken/index.html

今回の判決は、自分もこのような法律家になれるよう精進しなければと思わせるものでした。

(学会 法務部会 常任理事  弁護士 山田勝彦)

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