マナー

野口具秋です。

電車などに乗り合わせると、車内のあちこちに空ペットボトルや
ソフトドリンクの缶が放置されていて、眉をひそめる光景は
日常茶飯事となり果てている。
公徳心もマナーもなく低開発国並みの景観である。
その景色が外壁やシャッターなどところ構わずの態をなしている。
いつの頃から悪な民族になり下がったのだろう。

その日は週末の比較的夜遅い時間であった。
乗客も少なく座席には座る人も少なく、のんびりとした空間が
帰宅へ運んでくれる。
ペットボトルに口を運ぶ隣りの20代女性が急に立ち上がり前の席に移る、
と同時にあろうことか窓際にペットボトルを掘り出した瞬間を見てしまった。

かつて、いわき市から郡山を高速バスを利用して移動した時を思い出した。
乗客は少なくドライバーと最後尾に4~5人の若いグループだけであった。

走行中に突然空缶の転がる音が車内に響いた。
若者は大声で話し続けるだけで缶の音は消えなかった。
運転手はマイクで若者たちに毅然とした態度で運行上の危険性を説目した。
若者たちは終点まで誰も声を発することとはなかった。

「お嬢さん、まさかそのまま放置するわけではないでしょうね!」。
慌てて取りに戻り尻の下に隠してしまった。
寝た振りを始めて目線を合わせないようにしている。静かに観察を始めた。
きっと目付きは悪かっただろう。
数分後、意を決したのか脇に放置していたハンドバッグの口を開け、
空ペットボトルを仕舞い入れた。
暫くして寒いホームに降り立ち、帰宅を急いだ。

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