“伝える”ということ(3)

「人と人」「人とモノ」「人と地域社会」をつなげることが自分の使命!
火曜日担当のキナミです。

さて、シリーズ「“伝える”ということ」の続編。
静岡県立静岡視覚特別支援学校の図工・美術担当の先生に
インタビュー取材してきました。

Q.視覚障がいをもった子供に図工を教える際の苦労は?

私たちが普段目にして理解しているイメージを、
イメージしにくい子供たちに伝え、
立体化するのは非常に難しいんです。

具体的なイメージを持っていない子に
具体的なものを作らせることに
どういう意味があるんだろうと考えるんですが、

一つは下心のようなものがあって、
形あるものを作ることで、それが何なのか理解して
欲しいということです。
例えば熊を作ったとしたら、足が4本あって~とか、
それによって熊って動物のイメージを
その子なりに持ってほしいとい気持ちがあるんです。


小学生が作った粘土細工の熊。

Q.図工の授業のカリキュラムはどうなっていますか?

視覚障がいのお子さんは、
まずモノを触れることができないと勝負にならない。
粘土が嫌だとか、ぬるぬるしたゼリーが嫌だとかはダメ。
まずは素材に馴れるということを一つの課題にしています。

それは実は小学校の図工よりも幼稚園(幼稚部)の段階で
砂とか、水とか、泥とか、粘土とか、いろんな素材に触れて
モノの感触を嫌がらないっていう「手」にしておくんです。
図工そのものは、造形的な目的とは別に、
最初は色んなものに触っていじるのに馴れる。
そういうことが一つ大きなも目的としてありますね。

それから、視覚障がいのお子さんは、
わりと、自分一人で好き勝手に行動していた事が多いので、
座って、じっくり作業をする事が苦手な子が多いんです。
だから他の教科も同じですが、一つのところに座って
与えられた課題などをある程度の時間継続するということが
養われます。

自分が手や道具を使って働きかける事で、
形が変わったり、組みあわせが変わったり、
なんか結果として面白い別のものに変わっていく体験を
たくさんさせることが重要ですね。
そういう意味では粘土は非常にやりやすい。


見本の石そっくりに粘土で石を形作る

日常的に使っている言葉がなかなか通用しないんですよね。
「端と端を合わせる」とか「こっちとそっちをつないでね」
とかではダメ。すごく具体的に指示しないといけない。
例えば厚紙を使って折り紙をやるときは、
「二つに折ろうね!」って言っても三角に折るのか四角に折るのか、
やり方がいろいろあるし、一つ一つ指示する言葉が、
今その子が持っている言語レベルの段階でわかるように指示するか、
実際に手を持って一緒にやってあげないといけない。
課題はホント山積みされていますね。

(次回に続く)

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