「良い会社」になるために評価制度は重要ではない

少し長くなりますが、本年度前期の研究活動で到達した成果についてシェアをさせていただきます。
よろしければ最後までお付き合いください。

人を大切にする理念経営を実践する経営者からほとんど語られることがなかったことがあることに気づきました。

それは「うちは給料いいよ」ですとか「当社の評価制度があったから今の経営がある」といった賃金制度や評価制度についての語りです。

たしかに人事評価には悩みます。
だから答えを求めてコンサルに高額なフィーを支払う企業はあとを絶ちません。

しかし、結果はどうなのでしょう。

多くの評価制度は、成果主義が最たるもののように社内競争をあおるもので、理念経営に大切な職場での絆づくり、一体感の醸成、利他の心を形成するのに役に立たないばかりか、相互信頼という継続経営に欠くことのできない重大なファクターに悪影響を及ぼしてきました。

多くの場合人心が離れ、新人事制度は機能せずに終わっていきます。

そこに正解がないから、悩み続けるのです。

永続を志す「良い会社」は、評価制度などに永続の答えがあるはずもないということをわかっているに違いないということを悟りました。

なぜなら評価制度は、極めて短期的な成果にフォーカスされるものだからです。
そして、そもそも人が人を裁くことなど所詮できる訳がないのです。

そんなことをしていては、良い人間関係を築き続けていくことにすぐに限界がくることは明らかであると言わざるを得ません。

もしも、今後、「良い会社」になることを目指すのなら、評価制度への信奉を捨てるべきと箴言します。
これがこれまで自社でも理念経営を進め、数多くの視察をしてきたひとつの結論です。

重視すべきは評価ではなく、承認する行為です。具体的にいえば「表彰制度」です。
視察してきた先でも、今思い返せば、この表彰制度について語られることが多くありました。

例えば西島。この会社では、社員に職業人生の最後をいつにするのかということを委ねていました。そして長く長く同社で働き続けてくれた社員が褒め称えられます。同社には勤続50年賞という他社では考えられない表彰制度が創設されていました。これまでに出した数名の受賞者のことを三代目となる社長はわが事のようにうれしそうに語っていたことを昨日のことのように思い出します。

例えば坂東太郎。「人間大好き 親孝行」が経営理念の同社では、年に一度「事業戦略発表会」が開催されます。全社員が本気で一丸となってこのイベントに参画しています。ここでマンオブザイヤーが表彰されています。前年に最も感動的なエピソードがあったお店の女将さんなどが表彰されています。

感謝をストレートに承認する表彰制度や経営理念の実現への貢献を顕彰する表彰制度は心が動きます。

裁くための評価制度よりも、こうした人を活かす表彰制度をつくることに知恵を絞り、全ての社員が‘いいね’と心から感じられる仕組みを作り上げていくことが「良い会社」の人事制度ではもっとも重要なテーマとなるのです。

人本主義の理念経営を深堀してきて、今、このことに辿りつきました。
今後、重要な研究課題としていくことを決意しました。
「障がい者雇用」に次いで皆さまの役に立てられるようさらに深掘りしていきます。

最後までお読みくださりありがとうございます。
今週もよきことがたくさんありますよう・・・

小林秀司

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「「良い会社」になるために評価制度は重要ではない」への2件のフィードバック

  1. 私も障がいをお持ちの方と共に働いている為、常にどうすればもっと社会的な地位向上が出来るのかを考えています。
    綺麗事で甘い考えかもしれませんが彼等が社会貢献の為に企業に雇用されるのではなく、企業が彼等を必要として雇用する事が当たり前になる社会を創りたいです。
    そういう風通しのよい社会が皆に優しい共生の社会だと思います。
    小林様の様に影響力のない私ですが先ず地域から変えて行きたいと思います。そして本当に微力ですが私にご協力出来る事があれば何なりとお申し付け下さい。
    川合製作所 山内貴夫

  2. 山内様
    いつも当ブログをご覧くださり、ありがとうございます。
    企業における障がい者雇用の概念を変えることは、私にとってもミッションです。
    初めに助成金ありきで政策が構築されていることに、すごい違和感を感じています。障がい者雇用の企業経営における価値を説き伝えていくことが行政のすべき重要なことであるはずです。
    この辺から何とかしたいですね。