襟裳岬

野口具秋です。

小樽生まれの、なかにし礼が作詞し、北原ミレイが歌い、
日本作詞大賞を受賞した「石狩挽歌」、
ニシン御殿の番屋に往時の漁の嬌声が木霊します。
自叙伝的な小説「兄弟」、
北野たけしが好演し、兄弟の愛憎劇を強烈に演出しました。
北海道の大地に踏み入れる度に様々なシーンが脳裏を過ります。

兄弟といえども生まれは昭和20年初め、2人とも60代半ば過ぎ。
まったく異なる町暮らし、
たびたび北の大地に踏み入れることはあっても会うことはないのです。
最後の機会になるかもと訪ねることを決めました。
心つくしのもてなしで道内を2日間案内してくれることになりました。

景観美の洞爺湖、別荘的な瀟洒な温泉旅館と、
深々と降り積もる雪深い岩見沢のログハウスのカナディアンロッジに
案内しくれたのです。
2人で枕を並べるのは6年前、父の寝ずの番、お通夜以来です。
尽きることのない話は延々と続くのです。
遠慮なく酒を酌み交わしますが不思議と酔いません。
後にも先にもない旅で照れているのかも知れないと思う。

遠い、遠い、襟裳岬は何もない岬でした。
雪もない強風が吹き荒れる
人一人いない閑散とした真冬の晴天の岬に、
吉田拓郎、森進一の歌碑があります。
岬の先端に続く階段は暖炉の温もりがいります。
「温まってゆきなよ…」。
この地で「襟裳岬」を唄うのが長年の夢だったのです。
「なにもない春です…」。

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