第3回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞受賞企業決定!

先週、第3回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞受賞企業が発表されました。

〇経済産業大臣賞 富士メガネ 
〇中小企業庁長官賞 西精工
〇実行委員長賞 ケーズホールディング
〇審査員特別賞 江守商事 協和 さんびる 根上工業

受賞された企業の皆さま、心よ祝福申し上げます。

表彰式は 3月22日
今年は第1回受賞企業の未来工業瀧川社長による記念講演が行われます。

http://www.taisetu-taisyo.com/

このブログを読まれている方には、富士メガネは御馴染みかと思われますが、北海道札幌にあり、あの松下幸之助に世界一の眼鏡店と言わしめたメガネ屋さんです。

人のためになる仕事、人に喜ばれる仕事(お客様の「見る喜び」に奉仕すること)が一番大切であり、そのための労力と時間とお金は惜しまないという創業以来の伝統を続けています。

それを実践しているのが、海外難民視力支援活動です。30年に亘るこの活動で10万人以上の難民に12万組以上のメガネを寄贈し続けています。わざわざ社員が現地に行って貢献をしています。これまでに150余名の社員が直接参加をしています。単なる寄付ではなく、社員が直接かかわる社会貢献をこれほどまでに継続することで、会社経営に計り知れないメリットが生じてきているといいます。

もっともっと世の役に立つ人間になりたいと動機づけられ、社員が技術とサービスの質の向上を目指し日々研鑽するようになっていくのです。全社員の約5割の288人が社団法人日本眼鏡技術者協会の「認定眼鏡士」の資格取得者となりました。また、この海外難民支援活動に参加することで社員は仲間意識、ファミリー意識が芽生え、結束が強まるのだといいます。

次世代経営の鍵、「家族的経営」の実現が計られて行っているのです。

西精工は四国徳島にある製造業。

創業者一族の系譜を継ぐ現社長の西泰宏氏が社長に就任したのが2008年。当時は雰囲気が暗く、挨拶もできない社員もいたといいます。

社員の離職率が高く根本的な経営の変革が必要だと感じた西社長は、会社が大切にしてきたもの、すなわち『創業の精神』へ原点回帰することを決意。

『創業の精神』では「人間尊重・お役立ち・相互信頼関係・堅実経営・家族愛」の5つの精神が謳われていました。

1年かけて経営理念も刷新しました。経営理念を社員に浸透させていくために、それまで唱和していた社是を捨てたという。

当時の社是には「良品をより安く」と謳われていたが、大量生産の時代が終わったと認識した西社長には、違和感があったからです。

また「いい職場をつくろう」といった言葉にも、これからの時代は、自分の会社だけの発展でなく、社会に貢献できる会社でなければ存続できないという覚悟をもって、すっぱりと捨てることを決めました。

「徳島でのものづくり」にこだわり、地域を元気にしていく会社経営を目指しました。

「いいチームはリーダーが厳しい。ぬるいことを続けていては自分もチームも成長しない」という西社長の真剣さが、社員の心に火をつけることになっていきました。

同社の強みは、「大切だと思うことを大切に思い、これでもかと実践すること」にあります。

西社長は、経営理念に込めた思いを共有するために、毎日社員に社内ツールを使って対話を行っていきました。A4で1~2枚、毎日必ず『経営理念』に関することについて愚直なまでにメッセージを送り続けたのです。

社員からあったレスポンスに対しても、必ずその日に返事をしたといいます。これを毎日3時間くらいかけてやり続けたということです。多忙な社長職にあってもこれを継続していきました。そこに社長の本気度を社員が感じない訳がありません。

社長が毎日メッセージし続けた経営理念に対する思いは、その後、社員たちの手で『西精工フィロソフィー』という冊子になり、毎朝の朝礼のテーマとして活用されています。

いつしか製造業の職場では日本でいちばん笑顔があふれている職場となりました。

人を大切にする人間性尊重の経営に経営革新に取り組んでまだ5年でここまで会社を変えることが出来るのです。
その努力は並大抵ではないでしょうが、後進には大いに勇気づけられる成果であるといえまいす。

構造変化にたじろがない会社にしていきたい経営者は、目標にする価値のある会社といえるでしょう。

小林秀司

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