福島県相双地区

野口具秋です。

福島駅の駅中モールの店先では
真っ赤に熟したリンゴが積まれています。ここは果物王国です。
山沿いのリンゴ園には採り残された果実が
寂しげに寒風に揺れていることでしょう。
木枯らしとともに雪が近い季節です。
阿武隈山系を抜けて、
私たちは浜通り、相双地区・南相馬市に向かいます。
栗田クン、お世話になります。

何度も車で通り抜けた山路です。
指折り数えると15年も前のことでした。
行きかう車は少なく、
のどかな中山間地の風景を楽しみながらゆったり走りました。
山間地帯を抜けると、そこは旧原町市です。
のどかな風景のはずが、地面を削るブルドーザーや
あちこちブルーシートで覆われた汚染土が連なり、
否応なしに目を釘付けにさせます。
ワイフとともに求めた夏野菜、白桃はどうなっただろう。

被災地、ご自身も自宅を津波で失った区長さんに
小高町、原発から2km圏内の海岸近くの
住宅地跡で説明を受けました。
現場の景色を見た途端、恐怖が走ります。
3.11その時そのまま時間が止まったままです。
堤防が抉り取られていて、
隙間から白波がテトラポットにぶち当っています。
20mの壁が背後に迫り来たのです。
命あるのは奇跡です。夕闇と静寂が迫ります。

月に2回は郡山から仕事に訪れ、3年続きました。
温暖な浜通りは、穏やかで空気も爽やかに吹き抜ける所でした。
誰一人、原発安全神話が崩れるなどと思ってもいませんでした。
国道6号線から見える原発施設は町の誇りでもありました。
この冬一番の寒波に身をこごめ、
この地で初めて感じた寒さに打ち振え、
区長さんの恐怖体験に聞き入るばかりです。

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