おもてなし経営vol.9

【おもてなし経営vol.9】
「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」

「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」をご存知でしょうか。ご存じない方には、私の先輩(岡田さん)が非常に分かりやすくまとめている文章があるので、そちらをどうぞ。
http://yaplog.jp/sakamoto/archive/4544

私は昨日、自ら体験した感想をお伝えします。

早速ですが、東京都渋谷区のビル地下1階にある「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」で真っ暗闇の体験をして、まず分かったことがあります。

闇の中では、普段、視覚を頼りに生きている私たちは無力で、不安がいっぱい。たった90分の暗闇体験でしたが、それは大きな衝撃でした。まったく何も見えない真っ暗な世界に飛び込むと、視覚障がい者のアテンドが唯一の頼り。私たち10人の第3班を明るく、ナビゲートしてくれた「ちいちゃん」の存在は太陽のようでした。

私はちいちゃんの一番すぐ近くに寄って、ちょっとでも声が離れると「ちいちゃん、ちいちゃん」と居場所を確認しながら、まるで幼な子のように一歩も動けない心細さを体験しました。置いて行かれるのが何より怖くて、臆病者の私はわれ先にと先頭を切って、ちいちゃんについて行きました。体験終了後、グループのメンバーには「福ちゃんはいつも先頭にいて、いい声で引っ張ってくれた」と褒められましたが、それは不安や恐怖の裏返し。一人ぼっちになるのが怖かったから、いつも声を出して「福ちゃんはこっちだよ」とみんなを呼んでいたのです。臆病なほど積極的になる、不思議な現象を身を持って体験しました。
それと同時に、お互いの不安がお互いの心の痛みを知ることにつながり、一瞬で絆に変わることも分かりました。人は同じ状況に置かれると、誰かに寄り添いたくなるものです。普段、手をつなぐことも、肩に手を触れることもない関係なのに、すっと手を伸ばし、誰かと触れ合っていたいという人恋しさ、人のぬくもりの安心感を強く感じました。最初は女性陣だけでしたが、途中からはメンバーの男性陣と何度、手をつないだか、今、冷静になって思い出すだけで赤面するくらい、手をつなぐことや声を掛け合うことが、視覚を使えない世界ではとても自然でした。本来のコミュニケーションが、そこにあった気がします。

そして、もう一つ。体験しながら途中でふと気付いたことは、この暗闇体験には終わりがあるという安心感。一生続くわけではない、という安心感。90分の体験中でも、いつかは終わりが来るから、と自分に言い聞かせ、途中からは暗闇を楽しんでいました。でも、それと同時に気付かされたのです。視覚障がい者として生きるということの重みを。私たちが暗闇で視覚障がい者にアテンドされて心強かったように、光のある世界では視覚障がい者をアテンドしよう。まずはそっと肩をたたいて声をかけよう。声が何より頼りなので、やさしい気持ちでふんわりと声をかけること。「何か困っていることはありませんか」と。そして、軽く自己紹介。「近くに住んでいる者なので、お手伝いしますよ」とか、「旅行者ですが、行き先が同じなので、一緒に行きましょうか」とか。

多くの気付きを与えてくれる「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」、皆さんもぜひ一度足を運んでください。気付きは十人十色、人によって違いますが、その気付きを共有することも大きな楽しみです。友人、恋人、家族、職場の仲間、趣味の仲間と一緒に体験してみてください。90分の暗闇から出たとき、新しい気持ちで人と向き合えます。
そして、共通しているのは光の扉を開けた時に「誰もがやさしい気持ちになっている」ことです。日々できないことに目を向けるのではなく、できることに目を向けられるようになります。

興味を持った方はぜひ、ホームページをチェックしてみてください。
http://www.dialoginthedark.com/

もっと、もっと、書きたいことがあふれてきます。続きはまた次回。
福満景子

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「おもてなし経営vol.9」への1件のフィードバック

  1. 福満さん
    おはようございます!
    この日は弊社主催の講演会開催日だったので出席することができませんでした。
    いつかは訪問したいです。
    真っ暗空間の体験は善光寺本堂の地下で何回か体験していますが、本当に不安な精神状態になりますね・・。