社員が3人以上の子持ちとなることを奨励する会社

2005年創業。
社員数43名、うち半数がワーキングマザー。
経営者は社員に3人以上の子持ちになることを奨励しています。

これまで出産率は50%で育児休業後は全員が職場復帰しています。
このためほとんど残業がない会社にしています。
それどころか、定時より30分前に退社することが認められています。

このように仕事と家庭を両立させることを実践しているため、ほとんどの社員は離婚していません。

この会社の業績です。
創業以来、増収増益で、現在、1人あたり売上高は1億円を軽く超えています。
売上高60億円、経常利益率10%超という堂々たる結果となっています。

東京銀座で幸せ軸の人本経営を実践し、ここまでの結果を出している会社に先週行ってきました。
ある方からぜひ紹介したいと言われ出張の合間を塗って訪問させていただきました。

オフィスにこんなお洒落なダイニングやレストルームが設置されていました。

職場の空気感が心地よかったことはいうまでもありません。

社名は株式会社ランクアップ、代表者は岩崎裕美子さんです。
理想的な経営をしているランクアップですが、ここまで順調にきた訳ではありません。

バリバリのキャリアウーマンだった岩崎さん、前職での職場はハードワークを厭わず、長時間労働が前提で成り立っている環境となっていました。そのため定着率が悪く、社員が2年くらいで離職を繰り返していきました。その理由が長時間労働にあると、当時のボスに進言しますが、一向に耳を傾けようとしません。

業を煮やした岩崎さんは、ためらいなく結婚して子育てが出来る会社をつくろうとランクアップを創業しました。

化粧品の開発、販売という事業を開始したのは、それまでのハードワークでご自身の健康も害されていたと気づき、本当に肌によいものを世に生み出し同様に困っている女性たちを助けたいという思いからでした。

「自分がいいと確信を持てるものでなければとつくらない」と石油系合成界面活性剤無添加など、それまでの業界の常識や採算度外視の発想で商品開発にチャレンジし大変な試行錯誤の結果、「マナラ」というオリジナルブラントのクレンジング商品を生み出し、これを主製品としてここまで伸びてきました。

長時間労働のない職場をつくるということが創業段階からの思いでしたから、労働時間的には働きやすい状態を実現していました。

ところが、事業が成長していくにつれ社員たちからは会社に対する不平不満、愚痴が止まず、暗い職場になっていったそうです。

岩崎社長はこんなはずではなかったのにと悩みます。
そして、とうとう職場でのストレスが原因と考えられる体調不良者が発生しました。

これではいけないと、それまでの強烈なトップダウンによるリーダーシップを改め、大切にしたい経営理念を社員と共有するための対話の機会を増やしていきました。

2010年頃から人本経営に舵を切っていったのです。
やがて社員のモチベーションも向上していき、いまでは社員満足度80という水準にまで達するようになりました。

子育てと仕事の両立ができるように、配慮されていることがたくさんありますが、特筆したいのはベビーシッターの活用促進とその経費負担です。

1日あたりかなりの高額となる利用料を300円の負担で何度でも活用できるように配慮しています。
諸事情でキャンセルした場合の費用も全額が会社負担しているそうです。

この安心のサポートでこれまで育児休業した社員の全員復帰が実現しているとのことでした。

先週もまた人本主義社会の形成が進んでいるということを実感できる出会いがありました。
このようなご縁が頻発してきています。

まさしく、今、時代の変わり目にいるのです。

小林秀司

坂本光司教授 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「社員が3人以上の子持ちとなることを奨励する会社」への1件のフィードバック