薄皮饅頭の柏屋さん

最近、柏屋さんを企業研究で担当しました。
2009年日本財団「第三回CSR大賞」銀賞を受賞しています。
CSR(Corporate Social Responsibirity)(企業の社会的責任)において光る企業です。

昭和33年に児童詩集「こどもの夢の青い窓」を創刊して約60年になります。
佐藤浩さんが主宰されました。
佐藤さんは、旧制安積中学3年生のときに鉄棒の事故で左目を痛めてしまいます。
もうすぐ失明という数日前に詠んだ歌は、

『母そはの 母の御顔の見納めと
残る 視力を凝らし見守る』

母への想いがあふれる歌でした。
一方、お母様は生涯、大好きなお茶断ちをされたそうです。

佐藤さんは、素晴らしい感性と、眼聴耳視(げんちょうじし) の精神を大事にして
長年、子供たちの詩集と向き合いました。完全失明されましたが、心は豊かにすごされただろうと思います。

眼聴耳視とは、眼で聴き、耳で視る、
仏教の「物の本質は目に見えない。目で聴いて初めて捉えることができる」
ということだそうです。

                   

北海道のお菓子屋、六花亭さんは、「こどもの夢の青い窓」に共感して
これにならい児童詩集「サイロ」を発行しました。

東日本大震災が起こり、柏屋さんへの風評被害を心配した六花亭さんは、
「5月の連休に26店舗で薄皮饅頭を陳列させてください」
という手紙を送ります。
自分の商品を下げて、薄皮饅頭を店頭に並べて、社長自らが店頭に立って
「薄皮饅頭は日本の宝、どうぞ買ってください」と声を上げたそうです。

常識では考えられない話ですが、子供の詩の価値を知る者同士が繋いだ絆は強く美しいものでした。
柏屋さんは、この励ましが大きな心の支えとなり、もう一度頑張ろうという気持ちになったそうです。

また震災で避難の真っ只中で一番要望が多いのがデコレーションケーキ。
どんな状況であっても子供に対しては何かしてあげたい
誕生日ぐらい祝ってあげたい、というのが親心です。
お菓子というのはこういうときに
大切な役割を持ってるんだなと柏屋さんは改めて感じたそうです。

                    

柏屋さんがCSRと呼ばれて、地域社会に長年継続的に放ったまごころは、
ブーメランのように、多くの応援や感謝、支援を伴って
柏屋さんに返ってきたように思われます。

数百万円投資して放射能測定器を購入し、
原材料を県外に求め、安全を訴求しています。

160年余の老舗ですが、「のれんは革新」と言い切り、
革新とチャレンジングな精神を大切にしています。

東京の店舗は大塚駅前にありました。
「こどもの夢の青い窓」をいただいてきました。
読んで心が洗われます。
福島の大先輩、故 佐藤浩さんに感謝です。
M2 本田 佳世子

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