あの美味しさは貧しい過去にある。 後半

あの美味しさは貧しい過去にある。
兵庫県西宮市甲陽園のケーキハウス「ツマガリ」の津曲社長の登壇だ!
例会の案内の後に津曲社長の講演録を掲載する。
本日は前半部分。ツマガリを立ち上げたとき、非価格の塊だ。
前半だけでも長いが勇気をもらう。

日時:8月1日(火)13:30〜17:00
◆人を大切にする経営学会 関西支部第3回例会◆
場所:人を大切にする経営学会関西支部(三和建設株式会社内)
   大阪府大阪市淀川区木川西2丁目2番5号
   阪急十三駅下車 徒歩7分/地下鉄御堂筋線 西中島南方駅 徒歩9分

内容:
【講演1】 13:40-14:30「利益が上がれば必ずしもいい会社とは言えない」
      法政大学大学院 教授 坂本 光司氏

【講演2】 14:45-15:35「今でも変わらず守り続けている3つの教え」
      ケーキハウス ツマガリ 製菓技術者 津曲 孝氏

【講演3】 15:40-16:30「社員は選んだ家族・日本一の感動企業を目指す」
      株式会社ベル 代表取締役 奥 斗志雄氏

【その他】16:30-16:50 質疑応答(17:00終了)

参加費: 会員・学生  無料
      非会員   1,000円  
     懇親会参加費 3,000円

◆懇親会◆
日 時: 2017年8月1日(火)17:30〜19:30 
会 場: 近隣のお店での開催を予定しております 
参加費: 3,000円
 
◆申込み方法◆

下記URLからお申し込みください。
https://ws.formzu.net/fgen/S8597646/

講演内容

オンリーワンを目指して-こだわりの経営戦略-「キーワードは人間味~小さなお店の大きなブランド戦略」神戸市産業振興財団主催講演会より
この講演録は、2001年2月に神戸市産業振興財団の主催によって行われた講演会での内容を要約したものです。
昨日に続き後半です。

ワープ戦略
僕はコンピューターはできないんですが、店の3階にはITの秘密の部屋があり10数人おります。
コンピューターで全国から注文をいただいています。でもITやってるけれども、急にソフトをやってもだめです。
ハードから入らないと。電話が掛かってきたらパッパッパッと、以前に何を買っていただいたか瞬時にわかる。半年前に買ったものがわかる。

「以前、こんな商品を買っているから、今回はこれを買えば」とサービスができる。
色々なことをクリアーしていって、将来は店がなくても商売ができる。販売員がいなくても商売ができるようにしたい。そうなると、本当のお菓子づくりをして日本中に広めることができるんです。

お陰様で宅急便では、酒屋さんを抜いて取扱高はナンバーワンです。
小さな店が月に500~600万円の宅急使の手数料を払ってます。
それも通常料金の半額以下です。宅急使もランクが上がってくると特別扱いの店にしてくれます。
そのうちに1/3ぐらいになると思います。宅急便屋さんが、デリバリーから代金の回収まで全部やってくれますから、ありがたいことです。
これが販売額が10億、20億円になったときにもソフトをつくっていると大丈夫。これを「ワープ戦略」と言っています。自分がつくったお菓子が北海道まで行くんですから。商品が勝手に飛んで行くんです。それも今日つくって明日届くんですよ。こんな凄いことないですよね。これを成功させれば大丈夫だと思ってやり続けているんです。

甲陽園と「人間味」
そして、注文を沢山いただくためにはどうしたらいいか。比叡山延暦寺と弘法大師の商法を取り入れています。
弘法大師さんは高野山の真言密教ですが、最澄の延暦寺は修行僧を育てるところ。
商売のうまいのは弘法大師さんからいただいて、社員教育は最澄の延暦寺商法がいいなと思ったんです。
昔、嫁さんに延暦寺に連れていってくれと言うて行ったんですが、延暦寺を探してもないんです。山が全部延暦寺なんです。修行堂なんですね。そこで雲水が行ったり来たりするんです。雲水たちが玉砂利のところを入っていくのは神々しくていいなと思いました。

比叡山の雲水と同じように、甲陽園も白い服を着た連中が行ったり来たりしたらいい感じになるなと思ったんです。大きな工場でしたら渡り廊下を通って、廊下に黄色の動線が引かれているだけで、何かロマンを感じない。

でも甲陽園の街を職人が行ったり来たり、販売員が行ったり来たりして、お客さんと言葉を交わし、近所付き合いもし、それがお陰横丁じゃないですが、絵になる。そうなると甲陽園そのものを劇画化してやろうかなと。

甲陽園そのものをストーリ-化したらどうだろうと。そう言うと、商店街の人に「お前は甲陽園を乗っ取る気か」と言われました。乗っ取る気はないけれど、いただきたい。

「いただく」と「乗っ取る」は違うから、甲陽園を日本国中に広めていくんです。お菓子工房から甲陽園を広めていく。「花とお菓子」そして「豊かな人間性」、これをテーマにお客さんに喜んでもらうんです。
私どもの社訓というか理念は「人間味」。人それぞれに味があるがごとくお菓子にも味があります。それぞれの味を生かし続けたいというのが、僕の考え方なんです。僕は学校は出とらんですが、この理念という言葉を追求する質なんですよ。

店というものは根付かないかん。ホンダの本社の所在地は鈴鹿ですが、あんまり知られていない。トヨタはどこか、愛知県の豊田市です。誰もが知っている。根が生えてる。しっかりと根を生やしている。経営というのはしっかりと根をはやしてこそ認知されるんです。

「赤福」はどこやと思います。お陰横丁ですが、もっととてつもなく欲の深い人で、「伊勢神宮か赤福か、赤福か伊勢神宮か」と言われるぐらいで、あの人は伊勢を乗っ取ろうとしている。僕もあやかりたい。伊勢に行って赤福を買って帰らないと、伊勢にいった気がしないんです。鶴橋で赤福を買ってきても、「伊勢に行ってきたの」と言われる。それぐらい伊勢神宮に馴染んでいて、僕もそれにあやかりたいと思ってるんです。

自分は甲陽園をもっと追求して、歴史を学んで70年前の写真など現在と過去を載せた本を作って、その本の下にお菓子を詰め込もうかなと思っています。甲陽園の歴史をひもとくと甲陽園のお菓子があるように、ネーミングとストーリーと歴史とを融合させてやっていきたいんです。

素材へのこだわり
甲陽園
今までロマンを話してきましたが、僕は菓子屋ですから菓子を追求しないとだめ。美味しいお菓子とは何かと言う以前に、安全であるということ。そしてもっと大事なことがあるんです。

たとえばアーモンドでしたらカリフォルニアを連想すると思いますが、ヨーロッパを連想する人はいません。
シチリアを連想する人はいませんね。カリフォルニアではレーズンやアーモンドが採れていますが、あれは移民の人が持っていったんです。
元はヨーロッパの地中海にあるんです。貧乏な人達がチャレンジして移民した。そしてアーモンドで大金持ちになったんです。だけど、僕はそれを使いたくないんです。本当のアーモンドというのは違うんです。種の形まで違う。本当はひらべったくて、そういうアーモンドをシチリアにお願いして、年間、何10トンか使うんです。レーズンだったら、僕はチリの大粒の天日干しを使います。

僕はアメリカの金持ちから材料を取らずに、貧乏なところから取る。干しバナナはガーナ。パイナップルならカリブ海から。それには日本の商社を使っています。フランスの17代続いている信用のおけるプルーンの農家からも送ってもらう。

それを担当しているのは元商社マンで郵便局長をしている人。これからは独自に色々とルートをつくってやっていかないと、いいものをつくっていけません。そして独自な菓子をつくっていく。バタークリームでしたら、既製品を頼らずに北海道の十勝の原料を発酵させてバターをつくる。雑菌がいてもいいんです。菌がおるからいうて余り洗いすぎると、うま味が抜けて美味くないです。たとえば天皇陛下の献上品なんてのは、洗って殺菌してやるから美味しくないと思いますよ。

話があちこちになりますが、結論を言いますと、材料は色々なところから独自に仕入れています。この地に根を下ろして甲陽園の焼菓子をつくっているんですが、普通のお菓子屋さんで焼菓子が50%ギフトで売れたら成功なんですが、うちは76~77%がギフトです。後の12~13%が生ケーキで、シュークリームは1日2,000個売るんですよ。前の会社で社長していたんですが、社長とは名ばかりでほとんどが商品開発をしてました。

自分で開発や企画を徹底的にやってました。社長が開発するのが一番いいです。一番気合が入っているから、社長が開発するのが一番いい。やっぱり想いが違うんです。愛情が3倍です。社員よりすごいです。愛情が強いですから。愛して愛してやまないんですから。お客さんがこれが欲しいと言うと、涙が出るほどうれしいんです。

商品開発に明け暮れて今日まで伸ばしてますが、今年は「マカロン」というのを始めました。これに「甲山の想い出小石」と名付けたんです。最初、「甲山の小石」と名付けていたら、中島潔画伯とカバごんの阿部進さんが「津曲君、”想い出”と入れなさい」と。何となくロマンが違うからと。それで「甲山の想い出小石」としたんですが、すると一日3万個売れました。

本物をつくりたいという想い
ありがたいことです。誰もが売れないと言うのですが、「売ってみせる」と宣言するんです。前の会社で役員会をしたときに、マイナスばかり言っている人がいましたが、そういう人は「売りたいから」ではなく、「逃げたいから」言うんです。「売りたい」と思うと考え方が変わってくるんです。アイディアが出てくる。何でも批判的にさり気なく言う人はだめです。自分で自己暗示をかけてでも本物にしたいと思ったら、偽物でも毎日毎日、改良していったら本物になるんです。最初は偽物でいいんです。最初に完成品はありえないんですから。毎日毎日改良していったら、いつかは本物になるんです。僕もいまだ半端者ですから、一生懸命、常に改良して改良して、自分が惚れた商品をこれでもか、これでもかと追求しています。お客さんに見合うように見合うように改良していったら、売れないわけがないんですよ。不景気ではなくて改良が足りないんです。

前向きに改良していく。不足のことがないように改良していく。花屋さんでしたら、花を並べただけじゃあかん。縦にしたら、横にしたらいい、斜めにしたらいいとか。水平思考ではなく四方八方、前後左右、上下と無限大な発想で考えればいいんです。固定観念にとらわれないことですよ。

それこそ昔、婆さんから哲学を学んだんです。小さい頃、運動会で走ったらビリだったんです。そしたら親が飯を食わさんと言うんです。昔は運動会というと家族で来るんですが、恥をかかしたというて飯を食わさんと言うんです。家に帰ると、婆さんが「廻れ右してたら一番やったな」と言うんです。

  (冬季オリンピックのショートトラックでビリが優勝した試合)ちゃんと滑ったんやから、あの人を批判したらだめですよ。ウサギと亀の競争で言えば無欲の勝利ですわ。十馬身離されてビリから走って一番。あの人にあやかりたい。腐らずによく走りました。普通、欲をかいた奴だったら出んですよ。あの人は諦めずに走ったんです。諦めないことです。常にチャレンジです。だめと思ったらだめ。99%負けていても、だめじゃないと思ったらだめじゃないんですから。絶対に諦めないことですよ。改良して改良してやっていったら、その商品は必ず浮かばれます。

【質疑応答】
Q:実技でたたき上げてきた社長と二代目にギャップがあると思いますが、今後、「ツマガリ」のブランドをどのように縦続させていくのですか。

A:僕は、今まで自然のまま、あるがままに経営してきたんですが、余り先を意識しすぎると、息子がギクシャクして、「お父さん、僕もう継がない」と言うんですよ。ですから、娘2人に息子が1人なんですが、お菓子を愛してやってくれる人にお願いしたいんやけど、それが使命ですよね。できれば自分の息子にお願いしたいと言うと、重荷に感じる。いま息子を日本で一番厳しい福岡に修行に行かせてるんです。そしたら自信がなくなったり、あがったり、落ち込んだりで、僕に電話がくるときは「やめたい」と。かかってこないときは調子がいいんですよ。これだけはままならないと言うか難しいですね。

僕としては土台づくりとして、浮き沈みがないように一か所のお客様を集めるのではなくて、遠くからの売上を上げたかった。近くに同業他社のライバルを作らないような経営をしたかったんです。色々なところからお客様が来てくださって、売上を上げる。そして、売上が上がったら川の畔のいいところに菓子工房をつくりたいんです。お菓子をつくるには、街中とかパチンコ屋の隣でやると感性が鈍ってさて、ただの労働になってしまう。従業員が作業をしていても、窓から緑が見える仕事場がお菓子づくりには大事なんですね。

話しがそれましたが、自然と継ぎたいと言わせる魅力がある会社にするのが一番いいんじゃないかなと思います。利益を出し続けて、そしてお客様に還元して、社員に還元して、養護学校の子供たちも働けるような。そういった子供たちが働きやすい仕事場をつくったり。大きな工場にするとその子たちが圧倒されますから、小さな工房をつくって、働きやすいように小グループ制にしてあげているんですが。そういった子供たちが働いて、いいリーダーが育って、後を継いでくれるのではないかと思っているのですがね。

経営理念の本筋は「優しさ」だと思うんです。冷たい会社は一時的に成功するかも知れませんが、皆いなくなると思うんです。あったかみと愛情がある会社でないとだめです。あったかみがあれば、息子もやはり家がいいなと思って、継いでくれるのではないかと思っています。

Q:社員教育は、どのようにされているのですか。
A:キチッと訓示を述べるとか、ミーティングをして自分の経営理念を伝えるといったことはしていません。会議はあくまでも情報交換で簡単にすませます。あとは私が行動でみせるだけです。蛙の子は蛙で、そういう環境があったら、自分のやることを横で見ていたら全部が伝わるはずです。だから大きな工場ではなく、小さな工房をいくつも持って、自分の手のひらサイズで従業員の方とコミュニケーションをとっています。

各店から報告書を書いてきますが、報告書は店長ではなくアルバイトが書いてます。店長になると少しヒネリが入ってきますが、アルバイトだったらやめても平気やから、良かったこと、悪かったこと何でも書いてくる。苦情の欄があるでしょう。すると書かないといけないから必ず書く。不手際があったことは全部書く。するとやり変える。一番の報告はアルバイトに限る。側近は書かない方がいい。側近は社長がそばにいて、手を握って よくみて可愛がってネジまく。一番末端の連中の話しをよく聞くことが大事だと思う。ミミズでもエビでも先っちょで方向を変えるわけだから、会社だったらそれがアルバイトですよ。アルバイトの言うことをよく聞くことが一番いいと思う。お客さんにボロクソに言われた話し、それをそのまま書いてくれるのが一番いいんですよ。改良するには一番いい方法や。

Q:私は豆腐・こんにゃくの製造販売をしています。商品開発は大切だと思いますが、洋菓子の種類も沢山あって、なかなか商品開発は難しいと思うのですが、どのようなシチュエーションでいつ考えるのですか。

A:僕は神様のお陰で才覚を発見したんです。創意工夫や開発というのに長けてたんです。持って生まれたものなんですね。要するに好きなんです、考えるのが。たとえば、若い者に、今度、イチゴの生チョコをっくろうと言う。フリーズドライのいいやつないかと、あちこちに声をかけると、いい材料が集まるようになっているんですよ。どこかから引っ張ってきます。材料をみてイチゴを使ってつくって、これ美味しいなと思ったら「名前どうしましょう?」と言うから、「この材料に出会わなかったらできなかったんだから、<苺(一期)一会>にしなさい」と。

ネーミングは「ツマガリヘそ曲がり」というお菓子でもいいんです。柔らかく柔らかく、柔軟な発想をもってくると面白いんですよ。豆腐ですね・・・・極端に言うと豆腐にチーズをのせて焼いたらどうなるか。豆腐にイチゴの粉末が入ったらどうなるか。そういう極端な発想をするんですよ。異質な発想をすると面白いんです。

僕もエーデルワイスで商品研究所の所長もしていたんですが、8,000種類の開発をしました。もう気が狂いそうでした。毎日ノルマ3品。しまいに何をしたらいいのかわからなくなります。一番わかるのは販売したらわかるんです。工場の中にはいって商品開発しても生まれません。商品開発は研究所にいても生まれません。末端にいて初めて商品開発ができるんです。末端にこそ発見があるんです、現場です。工場でもだめです、売り場なんです。

特に異業種の売り場にヒントがあります。そこで異業種の食べ物を食べることです。この前も東京の中華料理屋さんに行ったとき、最後にデザートが出てきて、タピオカと小豆でつくったココナッツのデザートだったんです。これは美味いなと思うと、パッとインプットしました。中華風のつくり方はわからないけど、フランス風のつくり方はわかるから、ココナッツ仕入れとけと言いました。ココナッツの身を潰して、牛乳入れて炊いて、香りがしたらその汁を出して牛乳だけ残して実は捨てる。それにタピオカを入れて、ゆっくり炊いた北海道の小豆を混ぜて、ついでにマンゴーを入れたんです。あの「ココナップディング」は中華料理から生まれたんです。

中華料理から生まれることもあるし、洋菓子とは全然関係のないところに行って発見することもあります。お菓子に多方面にネットを被せておきます。それから、馬鹿なことをしても馬鹿にしないこと。なんでもかんでも食べる。

僕、昔感動したことがあるんです。アンテノールの社長をしていたとき、八王子の店にヒロタの創業者が社員に抱えられてやって来られたんです。80か90歳ぐらいだったと思います。そのとき試食のコーナーを設けていたんですが、感動しました。支えないと身体が倒れそうなのに、その試食の商品にさっと手がいくんです。その姿を見たとき、僕は感動した。その根性がすごい。

これが商品開発ですよ。「研究する会社、常に栄える」で、死ぬ寸前であろうが、人の商品を食べてやろうとするその根性は感動的ですね。やはり執念なんです。ただ、僕が喋っていることは正しいことじゃないから。僕は正しいと確信を持って喋ってませんから。

考えるとき、一人になるときは無性に不安にさいなまれます。でも、いざやるときは自信満々でやらないといけませんよ。悩んで苦しむけど、やるときに悲痛な顔をしてやったらだめです。やるときは自信満々でやらないと。そうすると五の力が七になるんです。しょぼくれたら五の力が三になる。エネルギーが抜けちゃうんですよ。パワーを内部から出さないとね。走って死んだらいいんですよ。

「元気」「覇気」「強気」というのは、見えないものですが大事です。その一方で「のん気」も大事なんですよ。「のん気」がないとストレスがたまって死んでしまいますからね。「覇気」があっても「のん気」がないとだめです。「強気」があっても「弱気」もないとだめです。強気だけだと、登りつめて切れますから。弱気というのも大事です。弱気になると優しくなります。「強くなくっちゃ生きていけない、優しくなくっちゃ人間じゃない」と言います。強気だけだったら人は寄りつきません。人間としての優しさがないと皆が寄りついてきません。威張りちらしていると皆が嫌がります。

Q:洋菓子の美味しい食べ方のようなものがあるのですか。

A:それは難しいことじゃなくて、お腹をすかせることです。お腹がすくと、人間の嗅覚が鋭くなりますから。胃を休めてお腹をすかせることですね。

僕が21の時に開発したチョコレート菓子で、毎日何十個と食べて、前歯が溶けそうになるぐらい食べたんです。あるときスキーに行って、食べ物がなかってお腹がすいて、何かないかなと探すと、自分のそのつくったチョコレート菓子がバッグに入っていたんです。それを食べると「おれはこんなに凄い菓子をつくったのか」と思ったぐらい実味しかったんです。匂いに敏感になってくる。だから、味見をするのは、純粋に素材の匂いがかぎ分けられるときでないとだめです。

「食べっぷりは売りっぷり」と言って、売りっぷりのいい奴は食べっぷりがいい。食べっぷりの悪い奴が、食べ物屋をしてもだめです。味覚というのは舌で味見するか、胃袋で味見するか。胃袋で味見をすれば間違いないでしょう。一つの品を沢山食べるということはいいことですが、やはりお腹をすかしているときが一番美味しいね。疲れているとき、甘いものが欲しくなりますが、一番いいですね。

僕は100%美味しいお菓子をつくっているとは思っていませんから。その自信はまだないです。自信満々ではいけません。カラ元気は出しますが。

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