「これからの高齢者の仕事を考える」

法政大学大学院 坂本 光司教授が昨年の11月に東京で「これからの高齢者の仕事を考える」をテーマに講演した。

<高齢者に嫌われる企業に未来はない>
続いて、今後の企業経営においては、雇用とマーケットの両面から高齢者に嫌われる企業は生き残りが難しいとし、その理由を挙げる形で、今後の社会における高齢者就労のありようについて次のように説明した。

●理由その1
厚生労働省のデータによると、2000 年~2020 年の期間で15~64 歳の人口は1200 万人減少する一方、65 歳以上の人口は1,400 万人増加する見通し。
労働力人口の供給が不足するため高齢者層の就業が必要となるとともに、高齢者中心のマーケットとなる。
高齢者に支持される商品やサービスを提供できない会社は生き残れない。

●理由その2
坂本教授が著書で紹介した広島県の衣料品メーカーの例から、同社の社長が壮年期に開発した高齢者・障がい者向け衣料がユーザーに高く評価されていたものの、
社長自身が病身となって実際に利用したところ、不足を感じ、一層の改良が進んだというエピソードを披瀝。
真に高齢者のニーズをとらえた商品やサービスを生み出せるのは高齢者自身であり、高齢者雇用に前向きではない企業には、そうした事業は十全に展開できない。

●理由その3
高齢化社会の到来により、今後、求められていくのはソフト財、サービス財の分野。しかし、これらの分野のビジネスはオートメーション化が難しく、人が介在せざるを得ない。
こうした「人財集約型産業」は、心や知識、知恵、経験を要するため、介在者としては高齢者が適している。

●理由その4
65 歳以上の方々が人口に占める割合は、2000 年に17%だったのが2010 年には23%に達し、2050 年には40%にもなる見込み。
税制や年金制度の破綻は必至であり、国家財政の面からも65 歳以上の方々の就業が必要。

<貴重な人財が生かされていない現状>
さらに、坂本教授が理事長を務めるNPO法人で採用した障がいをもつ職員の例を挙げ、前職場では慮外の事故からの復職時、非情な人事によって離職をやむなくされ、再就職にも大変苦労した経緯を紹介。
あわせて、その採用面接の折に驚くほど優秀な人材の応募が多数あった話にもふれ、高齢者や障がい者の就業機会が不足し、せっかくの人財を生かすことができていない現状について言及がありました。

<高齢者が活躍する優秀企業>
最後に、実際に高齢者が活躍している例として、以下の企業についてご紹介をいただきました。
■コーケン工業株式会社(静岡県)
65 歳以上の社員が全体の25%を占める配管パイプメーカー。今年3月までは93 歳の女性社員が在籍。

■株式会社樹研工業(愛知県)
世界最小の歯車制作でギネス記録も有するプラスチック小型精密部品メーカー。定年制度がなく、現在の社員最高齢は
77 歳。高齢社員層の給料が一番高い、という給与体系を取り入れているが、このしくみの発案・推進は若年層の社員た
ちによるもので、仕事を教わった先輩への感謝の念と、自分たちも年をとった時に同様の計らいを希望、との理由から。

■西島株式会社(愛知県)
専用工作機械メーカー。この会社も定年制度がなく、勤続60 年の社員までも。定着率の高さに注目。

■未来工業株式会社(岐阜県)
第1 回「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」経済産業大臣賞受賞の電気設備資材メーカー。定年70 歳だが、退職
は71 歳になる前日。1965 年の創業以来、46 年間赤字知らずで、売上高経常利益率も平均13%を維持。

・・・・
40代50代の新卒?募集が目立ち始めた。
9月に法政大学で開催される第4回「人を大切にする経営学会」では上記で紹介された「コーケン工業」の村松会長も講演される。

9月9日(土)、10日(日)に東京の法政大学で開催される第4回「人を大切にする経営学会」の全国大会。
前日(8日(金)は、今年、「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」を受賞した神奈川県川崎市の「柿の実幼稚園」さんと千葉県松戸市の「スズキ機工」さんの視察だ。

学会の入会申し込みと全国大会の参加申し込みは下記です。
https://www.htk-gakkai.org/活動案内/総会-全国大会/第4回全国大会/

3月に開催される「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」授賞式は「人を大切にする経営」学会員以外の方も参加できますが、全国大会は学会員のみです。

全国大会には参加しないが学会に入会したい場合は下記でお願いしたい。
日々、学会に増え喜びと共に感謝したい。

https://www.htk-gakkai.org/決済/入会フォーム/

メインは9日(土)だ。

全日程プログラム
日付 時間 内容 場所
8日(金) 13:15~15:15 第4回全国大会 企業見学会 各企業
9日(土)
12:00~13:00 受付 富士見ゲートG403教室
13:00~13:20 人を大切にする経営学会 年次総会
13:20~13:40
開会式
会長挨拶 坂本光司(法政大学大学院教授)
開催校の代表挨拶 田中優子(法政大学総長)
大会実行委員長挨拶 赤岩茂(法政大学大学院客員教授)

13:45~14:45
基調講演1

15:00~16:00
基調講演2

16:00~17:00
ダイバーシティ経営 実践企業事例発表

17:05~17:45
講演及び事例発表者によるパネルディスカッション
18:00~19:30 懇親会 アルカディア市ヶ谷

10日(日) 9:30~11:50 分科会研究発表(40分×3組)
新一口坂校舎
各教室
12:00~13:00 総括
新一口坂校舎
301教室
13:00~
第5回会場校開催挨拶
閉会式

9日(土) ダイバーシティ経営 基調講演1
●日時:9日(土)13:45~14:45
●講師:株式会社クラロン 取締役会長 田中 須美子氏
●講演テーマ:障がい者と共に60年・・
1925年3月2日生まれ。九里学園女子高(現米沢女子高)卒業
1947年に結婚、夫(善六)と共に1956年㈱クラロン設立
1964年東京オリンピックを機に、スポーツ時代の到来を見据え、
肌着の製造から体育着製造に転換。
2002年夫の没後を継いで㈱クラロン代表取締役社長
2014年㈱クラロン 取締役会長。

株式会社クラロン
第5回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞 厚生労働大臣賞 受賞企業
㈱クラロンは、「みんなが望む健康、みんなに優しいスポーツウェア」を経営理念に掲げ、東北、北関東エリアの学校1,100校へ運動着を納品している。
大手メーカーには難しい多品種、少ロットの営業戦略と地域密着型の営業が奏功し好業績を保ってきたが、近年は少子化の影響で厳しさが増してきている。
又、特徴としては、創業以来、障がい者の雇用を通じた自立支援を積極的に行っており、現在の障がい者雇用率は県内トップの35.1%の水準となっている。

9日(土) ダイバーシティ経営 基調講演2
●日時:9日(土)15:00~16:00
●講師:コーケン工業株式会社 代表取締役会長 村松久範氏
●講演テーマ:「人」ありき。
”ぶれず”にやり抜き30年。家族のような300人の仲間。 
~コーケンは凄い。何が?!社員が凄い。 そんな会社をつくりたい。~

コーケン工業株式会社(所在地 静岡県磐田市)
第7回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞 中小企業庁長官賞 受賞企業
1971年(昭和46年)創業。
創業当時はディーゼルエンジンの燃料噴射管の製造を中心としていたが、その後、パイプを使用した配管部品(農業機械・建設機械・自動車等々)の分野にも進出し、多品種少量というお客様のニーズに応えることで事業を拡大した。
当時の人材不足を補うために、高齢者の雇用を始めた。現在では、60歳以上の社員が90人近く在籍し、最高齢社員は89歳(製品の梱包業務担当・正社員男性)。
また、1997年に特別支援学校からのしょうがい者雇用を始め、今年で20年目となる。一方では、1994年から大学生の新卒採用を開始し、現在では4世代同居の会社となっている。従業員総数は約300名。
一貫生産体制による、超短納期対応・極少量生産に特化したパイプ部品専門メーカーを目指し、高齢者・しょうがい者・若者が家族のように自然に関わり合う「チームコーケン」のメンバーで、日々の生産に取り組んでいる。

9日(土) ダイバーシティ経営 実践企業事例発表
●日時:9日(土)16:00~17:00
●講師:株式会社日本レーザー 代表取締役 近藤 宣之氏
●講演テーマ:ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み
1944年生まれ。1968年慶應義塾大学工学部卒業後、日本電子株式会社入社。労働組合執行委員長、経営管理課長、総合企画室次長、米国法人副支配人、取締役米国法人支配人、取締役国内営業担当を担当する間に、日本電子グループ内で、数多くの企業再建・合理化を経験。
1994年より経営破綻した子会社株式会社日本レーザーの社長として再建に取り組み2年で復配、2007年にはMEBOにより日本電子から独立し、現在に至る。主な著書に「変化する企業社会とキャリア形成」(富士社会教育センター2006)「ビジネスマンの君に伝えたい40のこと」(あさ出版2012)、「ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み」(ダイヤモンド社2017)。

株式会社日本レーザー
第1回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞 中小企業庁長官賞 受賞企業
1968年(昭和43年)にレーザー輸入専門商社として設立。
その後1971年に日本電子の100%子会社となり、親会社のレーザー開発を支援。
その後1983年に同業他社と合併、1993年に債務超過で経営破綻。
1994年から近藤社長が再建に取り組み、24年(見込み)連続黒字経営、MEBOで親会社から独立して10年、新卒社員も派遣社員、パートからフルタイムになった社員も全員が株主という日本で唯一と言われる会社を実現。
2011年第1回「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」中小企業庁長官賞受賞以来、「勇気ある経営大賞」(2012)、「ホワイト企業大賞」(2017)等各種経営表彰を受賞。

9日(土) ダイバーシティ経営 パネルディスカッション 17:05~17:45
コーディネーター
西浦 道明氏(人を大切にする経営学会 副会長)
パネリスト
田中 須美子氏(株式会社クラロン 取締役会長)
村松 久範氏(コーケン工業株式会社 代表取締役会長)
近藤 宣之氏(株式会社日本レーザー 代表取締役社長)

10日(日)分科会研究発表(4教室) 9:30~11:50 新一口坂校舎 ※4教室同時開催
テーマ
第1分科会「学生セッション」
303教室

第2分科会「健康経営~障がい者雇用」
101教室

内容
【発表1】9:30~10:10
金森敏(東京家政学院大学)
女子学生の視点から見た「良い会社」研究

【発表2】10:20~11:00
西原真治(松山大学大学院)
良い病院診断システムの開発と県立今治病院の良い病院づくりへの取り組み

【発表3】11:10~11:50
藤堂夏奈子(松山大学)
学生によるゼミ研究としての良い会社診断システムの開発と3社の分析事例による学び

【発表1】9:30~10:10
那波和夫(株式会社障がい者つくし更生会/第5回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞審査委員会特別賞受賞企業)
障がい者がイキイキして働く理由-企業経営の実践を通して

【発表2】10:20~11:00
岩崎龍太郎(法政大学大学院)
中小警備会社の障がい者雇用の促進とその効果等の関連

【発表3】11:10~11:50
錦戸典子(東海大学大学院)
経営者の「健康経営」に関する認識と社員の健康度・経営状況との関連

テーマ
第3分科会「ダイバーシティ」
301教室

第4分科会「いい会社研究」
302教室

内容
【発表1】9:30~10:10
谷渕陽子(株式会社パワーネット/第5回「四国でいちばん大切にしたい会社大賞」奨励賞受賞企業)
多様性を「力」に変えるチーム作り
-ひとり輝く・・・みんな輝く!

【発表2】10:20~11:00
佐野智紀(静パック有限会社)
疎結合型IoT工場における労働環境改善とダイバーシティ経営に関する研究
~中小企業へのIoT技術導入を事例に~

【発表3】11:10~11:50
大橋典子(多文化間キャリアコンサルタント)
「外国人も大切にする多文化共生に向けた取組み」 ~外国人労働者実態調査と事例~

【発表1】9:30~10:10
福田龍星(高知工科大学)
人を大切にする企業における経営者の思いや言葉のテキストマイニング解析

【第2報】
【発表2】10:20~11:00
安達明久(環太平洋大学)
富士・富士宮地域における中小企業の経営姿勢調査-人を大切にする経営と企業業績

【発表3】11:10~11:50
山本航(金沢星稜大学女子短期大学部)
スタッフのやりがいと幸福感が生む自然な笑顔と究極のホスピタリティ経営

10日(日)総括 12:00~13:00
会場     :新一口坂校舎301教室
テーマ    :人を大切にするダイバーシティ経営

企業見学会
日時:8日(金)13:15~15:15
見学先     :学校法人柿の実学園 柿の実幼稚園
         第7回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞 厚生労働大臣賞賞 受賞法人
         園長 小島澄人氏
         川崎市麻生区上麻生7-41-1
時間      :13:15~15:15
定員      :40名
参加費     :3,000円
集合      :13:00 幼稚園前 川崎市麻生区上麻生7-41-1

見学先     :スズキ機工株式会社
         第7回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞 審査委員会特別賞 受賞企業
         代表取締役 鈴木豊氏
         千葉県松戸市松飛台316-3
時間      :13:15~15:15
定員      :20名
参加費     :3,000円
集合      :13:00 本社前 千葉県松戸市松飛台316-3

「人を大切にする経営学会」役員の方に可能な限りタグ付けさせていただく。

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