福島市の「アポロガス」さん

法政大学大学院 坂本 光司ゼミ、夏合宿、福島編、2日目。

福島市の「アポロガス」さん
April 07 [Fri], 2017, 0:00
「商業界」5月号
先月の21日に第7回「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」を受賞された福島市の「アポロガス」さんが登場している。
授賞式で600名を超す受賞者を賞賛する方々の前で4名の新入社員を披露するサプライズを篠木社長が実施した。

審査委員会特別賞
企業名:株式会社アポロガス
所在地:福島県福島市飯坂町八景6-17
業種 :LPガス販売・メンテナンス、給湯器・灯油・重油の販売、介護用品のレンタル・販売
、太陽光発電システム、各種リフォーム増改築・新築事業、水まわり事業
社員数:38
設立 :1971年

受賞理由:
1)原発事故後、住民が一人でも残っている限り、地域のインフラを守るために、事業継続を続ける姿勢で経営している。
2)社員を主役に自分達で考えて実践する人財教育を行っている。
3)難病の子供たちに対する慰問、養護学校へのサンタ訪問等、社会的弱者に対する社会貢献のレベルが高い。
4)40年前に自社の記事を書いてくれた地方新聞に「40年ぶりの恩返し」として全面広告を掲載するなど、恩義を忘れない。

商業界の41Pには40年前の恩返しが掲載されている。

熱い心の駆け出し新聞記者のあなたは、言いました。
「設立当初は、お金が掛かる。必要であれば求人の告知とか営業やイベントの告知とか新聞記事として、私がどんどに書いて応援する!
今は、広告にお金を使わないで大丈夫。ず~っと先に、会社が大きくなって余裕ができたら、新聞に大きく全面広告でも出してもらえばいいから。」
あなたは、もう忘れているかもしれませんが、笑いながらあなたとアポロガスの初代社長は、四十年前に約束しました。
まだまだ、簡単に全面広告を打てるような会社でもなく、また東日本大震災の影響で余裕があるわけもありませんが、四十年の節目の今日、あの約束を果たさせていただきます。
あの時、飯坂支局の熱い支局長だった福島民報社のW社長、ありがとうございました。
四十年かかりましたが、やっと恩返しができます。
四十年が過ぎアポロガスも代替わりし、設立当初からいる人間は常勤としては一人もいなくなりました。
後略

これは当時、幼かった2代目現社長が創業者のお父さんから教えていただいのを覚えていて40年目に約束を果たしたものだ。
2011年3月11日の東日本大震災から3か月足らずの大変な時の会社創立の日から40年後の7月1日の全面広告だ。

これを見た駆け出し記者は全面広告が出た時の新聞社の社長になっていた。
社長に内緒で全面広告は打たれた。新聞社の社長の奥さんは、ご主人への見方を変え全面広告は額に飾られたようだ。

夫(妻)、父(母)、息子(娘)、、。は、会社で何をしているか分からない。
(社員の)家族には、社員。両親、身内の誕生日に社長から感謝の手紙を贈ることも大切だ。
家族の支えがあって仕事に全力投球ができる。
「後ろ髪を引かれる思い=家族に病気等心配することがある」。小さな子ども、介護社会、他の社員が支え合う風土が大切だ。

「商業界」笹井編集長のブログも篠木社長の人柄を現す。

平成の飛梅
2017年03月04日(土) 17時44分33秒
テーマ:取材メモから
飛梅伝説をご存知ですか。

東風(こち)吹かば
にほひをこせよ
梅花(うめのはな)
主なしとて
春を忘るな

政争に敗れ太宰府に左遷される際、菅原道眞が詠んだ歌で、拾遺和歌集に収められています。
道真を慕う梅の木は、一夜のうちに主人の暮らす大宰府まで飛んでいき、その地に降り立ったという伝説です。

東日本大震災からまもなく6年。
被災地の一つ、福島に「平成の飛梅」というべきドラマがありました。

2014年早春、福島高校を卒業する高校3年生たちは、東日本大震災のあった春に入学してきた生徒たちでした。
地震で校舎は壊れ、避難所にもなりました。
体育館や仮設校舎で授業を受けてきた彼らの卒業です。
「ここで学んできた3年間の誇りを感じてもらうため、できることはないだろうか」
こう考えたのが、福島高校OBで地元のガス供給会社、アポロガスを営む篠木雄司さんでした。

梅の花が校章で「梅校」とも呼ばれる福島高校。
「梅を植樹しよう」
「できれば太宰府の梅を」
厳寒風雪に耐え、百花に先駆け花を咲かせる梅の姿と福島、そして卒業していく生徒たちを重ね合わせ、篠木さんらOBたちが動き出しました。

さっそく、篠木さんは地元の神社関係者にしましたが、返ってきたのは「ご神木を譲り受けるなんて絶対無理」。
しかし、それで諦める篠木さんではありません。
アポもとらずに太宰府天満宮を訪問、福島の子供たちが被災に負けずに学ぶ様子を綴った手紙を渡しました。

一方、太宰府天満宮では宮司たちが何度も東北に入り、被災地支援を行なっていました。
手紙をきっかけに、福島高校OBで福島市の神社宮司の力添えもあり、梅の若木5本が譲られることとなったのです。
太宰府天満宮1000年超の歴史にあって、一般人にご神木が譲られたのはこれが初めてのことでした。

協力の輪も広がっていきました。
太宰府と福島間往復2800キロの輸送には運送会社を営むOBが、梅の由来を刻んだ石碑建立にも別のOBが、一連の費用も卒業生同窓会が全面的に支援することとなったのです。
卒業式の前日、植樹式が行われました。
しかし、環境の違い、福島の寒さに一部の蕾は霜にやられ、明日の開花は誰もが無理と諦めていました。
それが予想を覆して、一つの蕾がわずかながら開き、卒業生たちの門出を祝ったそうです。

人を大切にする経営を実践する企業に贈られる日本でいちばん大切にしたい会社大賞。
その審査員特別賞を受賞したアポロガスを取材、そのとき篠木さんが連れて行ってくださった福島高校の学び舎。
そこでは、平成の飛梅が芳しい花びらを開いていました。

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