AI時代のサムライ業(上)代替の危機 新事業に挑む

月曜日の日経の記事
(下)は会計事務所か。極端な2局化している。
楽しみだ。

AI時代のサムライ業(上)代替の危機 新事業に挑む
弁理士、商標サイトで起業/司法書士、M&Aなど仲介も
2017/9/25付日本経済新聞 朝刊
 人工知能(AI)の利用が広がるにつれ、弁護士や弁理士など企業法務に関わる士(サムライ)業が「定型的な独占業務はAIに取って代わられかねない」と危機感を強めている。起業して新事業を始めたり、いち早くAIを取り入れたりするなど、業務の見直しに取り組む動きも出始めた。(編集委員 渋谷高弘)

GVA法律事務所は朝会でベンチャーの最新情報を共有。代表の山本弁護士(右)は業務へのAI導入も準備中だ
 特許や商標など知的財産権の出願・登録を企業から請け負う弁理士。過去の事例を調べて出願書類を作成し、特許庁とやり取りしつつ登録までを代理するが、仕事がAIに置き換えられかねないとの危機感は強い。

料金は4分の1
 「膨大な事例の調査や技術的文章の作成はAIの得意分野。ほとんどが置き換わるのでは」。AIとの関係などについて情報を発信する日比恆明弁理士はこう指摘する。
 ならば弁理士自ら代替事業に乗りそうという動きが出始めた。五味和泰弁理士は米国留学からの帰国後の昨年、ベンチャー企業を設立。AIを用いた商標登録サービス「cotobox」を9月に始めた。顧客は同社サイトで商標にしたい文言が登録できそうか調べたり出願したりできる。料金は対面で発注する場合の4分の1という。

五味氏は「特許出願は発明者との複雑な共同作業が伴うので、当面、AIの導入は難しい」とみる。他方、「商標出願には誰かがAIを導入するだろうから、自分でやってしまおうと考えた」。
法務局などへの登記手続きを担う司法書士と、官公署や地方自治体への届け出業務を担う行政書士も、危機感は強い。どちらも「定型書類に情報を正確に書き込んで手続きする」仕事。AIに置き換えられやすいとの見方がある。

司法書士法人などでつくる「東雲グループ」を率いる星野大記氏は、コンサルティング会社、東雲アドバイザーズ(東京・中央)で中小企業経営者に事業承継を指南したりM&A(合併・買収)や不動産の売買を仲介したりする事業を始めた。「登記は単発の仕事だが、多くの経営者と知り合える。強みを生かそうと考えた」(星野氏)

例えば、高齢経営者の多くは後継者問題に直面している。廃業ならば事業の譲渡、後継者がいれば株や不動産の早期の承継という課題がある。そうした需要をつかみ、コンサル会社で指南していく。今ではグループ売り上げの3~4割がコンサル収入だという。

行政書士の石下貴大氏が得意とするのは、産業廃棄物処理業に関わる許認可の書類作成と契約書作成だ。同氏は行政書士法人とは別に15年秋、新会社「weee」を共同設立。主な顧客である建設会社と産廃処理業者を結ぶ、電子契約書サービスを提供し始めた。

建設会社は、廃棄物処理法の許可を受けた運搬業者や処理業者に産廃処理を委託する。これまで行政書士は両者が交わす契約書のひな型を紙で作成し、双方に郵送、押印してもらっていた。

電子化で顧客は紙の契約書に必要な印紙代や郵送・保管代を大幅に節約できる。行政書士として受け取る報酬は変わらないが、石下氏は「電子契約書をきっかけに各地の業者の情報を集め、将来はAIで両者を結び付ける新事業につなげる」と戦略を描く。

法律系サムライ業の代表ともいえる弁護士といえども、AIの影響からは逃れられそうにない。米国では訴訟での証拠収集や不祥事調査でAIが使われ始め、弁護士がAIを補助者として利用する事務所も登場した。

「AIでブランド品が偽物か見分けるメルカリの新サービスは面白い」

「北欧エストニアのICO(イニシャル・コイン・オファリング)、すごいね」

毎朝9時すぎ、GVA法律事務所(東京・渋谷)では「シリコンバレー部屋」と呼ぶ一室で弁護士らが勉強に励む。法律論ではなく、金融とIT(情報技術)が融合したフィンテックやAIなどベンチャーの話題の共有だ。壁や椅子は赤や緑などの原色で、法律事務所には似つかわしくない。

人間は判断担う
 同事務所の顧客の多くはベンチャー。家計簿アプリのマネーフォワード(東京・港)などフィンテック企業も含まれる。「彼らの事業や関心事に寄り添うことで、なんとか相談相手が務まっている」。代表の山本俊弁護士は朝会の狙いを話す。
 実は業務へのAI導入も急いでいる。1月に設けた新会社「GVA TECH」でシステムを開発中だ。「弁護士も業務の半分は過去の事案の調査や定型文の調整。AIで代替できる。人間は法律を新ビジネスに融合させる判断や文章作成に特化すべきだ」(山本氏)
 定型的な独占業務によって安泰とみられてきたサムライ業。皮肉にも、その業務こそがAIの草刈り場となっている。

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