坂本 光司ゼミの優秀な後輩、神原 哲也さんの投稿をシェアする

法政大学大学院 坂本 光司ゼミの優秀な後輩、神原 哲也さんの投稿をシェアする。鹿児島県や同社の社員は三世帯同居が多い。

 29日のアポロガスに先駆け、28日はマコセエージェンシー(鹿児島市)の五十嵐芳明代表取締役の講話を聞いた。坂本光司教授の主催する神田経営者クラブの企画。坂本教授は「『日本でいちばん大切にしたい会社6』(2018年出版予定)で取り上げる6社のうちの1社です」と紹介した。

 五十嵐社長の講話は、同社の「オリジナル会葬礼状」アワード受賞作品の上映から始まった。画面には「かぞえきれいない思い出、全部忘れないよ。パパの娘に生まれてよかった」といったカットが入り、河口恭吾の「桜」をバックにナレーションが進行、「これからも●●がそばにいるよ」と結ばれていた。

 会葬礼状といえば通常は定型文だが同社は故人が亡くなって早々に、遺族に電話をかけて故人に対する思い出や今の思いを原則5分で取材、1時間で文面を作成する「オリジナル会葬礼状」で先駆けた。

 全国の葬儀社から請け負っており、直近で年間14万件の会葬礼状、全国の葬儀の1割相当を100人以上のスタッフで制作している。

 短時間で取材して共感できる文をまとめるには、豊かな人間性(感受性)と取材及び執筆のスキルが求められる。私にできるだろうかと思いながら講話を聞くことになった。

 同社はもともと地方紙のお悔やみ広告でこの分野に入った。葬儀の代理出席が多くなる中、遺族の気持ちを文字にできないかいう声があり、定型ではなく、遺族の気持ちがこもったオリジナルの礼状に行き着いた。

 五十嵐社長は「感動ビジネスを鹿児島から全国に発信している」と冒頭、挨拶した。その後も多くの「作品」を上映したが、その「感動」は残念ながら再現できない。ここでは感動を生み出す「鹿児島」の土壌について伝える。

 鹿児島は、お墓は花の饗宴、芙蓉や菊の消費は全国1位。墓や仏壇を毎日拝み、例えばバレンタインデーに娘が亡くなった父のために仏壇にチョコを供える。「困った人があれば助けたいという気持ちが強い」とも言う。

 五十嵐社長は自身の取り組みについては「忙しいスタッフに饅頭を配って回っている」「オンライン上で礼状を読んでいい出来だったとコメントした」など断片的に触れただけで多く話していない。

 だが「感動を生み出す」スタッフの働く環境や教育にはかなり力を入れているようだ。「食堂など労務環境は鹿児島ではトップクラス」と自負。在宅勤務も3年前から始めた。またグリーフサポートの研修や社外講師を招いた社内勉強会も頻繁に開いている。

 会葬礼状で取材してきた遺族に共通するのは「感謝」だと言う。五十嵐社長は「感謝するほどに人生は豊かになっていきます。ありがとうの連鎖、そのループがあれば世の中は良くなっていきます」と講話を結んだ。

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