原田左官工業所【No2 いい会社視察2016/10/26】

この投稿では、私が6年間法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室で経験した【いい会社視察】・【出版プロジェクト】・【毎週の授業で学んだこと】を中心に、毎週火曜日にお届けしております。あくまでも個人的な認識をもとにした投稿になりますが、少しでもお読みいただいた方のお役に立てれば嬉しい限りです。間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(桝谷光洋)

 今回は2018年3月の「第8回日本でいちばん大切にしたい会社大賞」にて審査委員会特別賞を受賞された『有限会社原田左官工業所』さんをご紹介致します。
http://www.haradasakan.co.jp/

 2016年10月に坂本ゼミで訪問させていただいた原田左官工業所は東京都文京区、西日暮里駅から徒歩数分のところあります。現社長の祖父;原田辰三氏が1949年に個人創業し2代目の父;原田宗彦氏のあと2008年から原田宗亮氏が三代目の社長となりました。

 近年左官業界は、高齢化によって55歳以上の割合が約60%に上り、ピーク時30万人以上いた職人は現在5万人にまで減少し、建築方法の変化から簡単に組み立てができる工法が好まれ職人によってばらつきや時間のかかる左官の仕事が減少している厳しい業界です。例えば3000万円の住宅案件があった場合、以前であれば約600万円は同社の事業範囲でしたが、今ではゼロもありうるほど市場環境が縮小している現状があります。そのような中で同社は左官に特化した若くクリエイティブなプロフェッショナル集団としての存在価値を築きあげるに至りました。
主な事業は、①左官②ブロック③防水④タイル工事となります。売上の比率は①で約70%、②③④で約30%を占めています。

 お話を伺った中で感じた主な特徴は2つあります。ひとつ目は提案型の左官業として多くの若い職人さんが活躍していることです。46名の社員中、20代9名、30代18名です。2016年度では3名の高卒男性が入社しています。本社にはショールームがあり様々なサンプルを見ることができるだけではなくその場でサンプル作成をしてくれる空間になっています。施主の立場を想像すると、そこはまさにものづくりのアイデアが沸き起こりイメージが具現化していく提案を期待せずにはいられない現場ではないかと思います。さらに女性の左官職人さんは8名おり女性の感性を生かした提案力も大きな魅力です。
 

 2つ目は独自の育成システムの存在です。父の代であった1989年から女性職人を採用したことから、育成のための工夫や試行錯誤の蓄積が同社の強みになっているのではないかと思います。今では独自の育成システムが同社を支え大きな優位性になっています。

 未経験の見習い工は4年間の見習い期間があります。無事に終了すると『年明け披露会』と称して100名を超える規模でホテルを借り大々的にお披露目会を行います。本人の家族や取引先の方々をお呼びし、師匠や先輩へのお礼を伝えたり、これからの決意を表明する場になっています。
また、同社にはモデリング訓練の仕組みがあり、熟練職人のお手本動画をいつでも見て学ぶことができるようになっています。さらに「ブラザーシスター制度」や「ありがとうカード」の制度があり、孤立しがちな職人さんを繋げる仕組みが機能しています。

 一般に左官職人は4年間で一人前の職人なり10年間でどこでも通用すると言われているそうです。同社では入社時に1本だった鏝(こて)は15年後には200本くらいになるそうです。欧米では通常10本程度だということなので、日本の左官職人の技術の高さや繊細さは我々の想像以上ではないでしょうか。ちなみに日本国内には約1000種の鏝があると言われているそうです。

 同社は『夢とロマン』を企業理念として、職人を守る・伝統技術の伝承・幸せの創造を追求する会社です。現在は直販としてのBtoBが約90%を占めているとのことでしたので、今後は評判や口コミが広がって直販としてのBtoCが増加していく姿を想像しています。原田左官工業所を知る人が増えることを願っています。

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