「人生の価値は、何を得るかではなく、何を残すかにある」田口一成さん

 近頃、面白い発想の若者と出逢えた。ソーシャルビジネスで世界を変える・株式会社ボーダレス・ジャパン社長、TEDでも講演された田口一成さんだ。田口さんが社会貢献のために作った会社のいくつかを紹介する。

 まず8年前につくったシェアハウスだ。きっかけは、日本に来た外国人が、偏見などの理由で部屋を借りられなくて困っていた。見かねて田口さんは自分が家賃保証するからと、大家さんと交渉してこの問題を解決した。さらに、日本人の友達が欲しいという外国人留学生の要望に応えて、外国人と日本人が半々で暮らすシェアハウス運営を始めた。現在は、東京、大阪、京都、韓国、台湾などで約120のシェアハウスを運営し、47か国、4000人以上が友人を作るなど、住居問題以外の価値も創造した。

 次に、ミャンマーで、ハーブティー栽培も始めた。ミャンマーのリンレイ村は約250世帯が住み、葉巻煙草を作っていた。草に穴が開くと商品価値が落ちるからと農薬を使うため、健康被害が発生し、また仲買人への借金も膨らむ一方で、生活が苦しく、村長も村人もそんな窮地から何とか脱出したいと思っていた。そこで、田口さんと仲間は、ハーブのオーガニック栽培を提案した。田口さんらが仲買人の借金を肩代わりして、仲買人には村から手を引いてもらった。そして、ハーブのテスト栽培を行い、有機農法の専門家を採用して、村人に教え、工場でハーブティーを製造した。村人から買取保証するものの、高価格販売の販路に悩んだ。問題は、日本でのハーブティーのマーケットは小さかったことだ。結論から言えば、2014年、年商8.4億円になった。5年間で88万人が飲し、年間30トン、リンレイ村160世帯分相当のハーブを輸入できた。どうやってやったのか? 日本の妊産中と授乳中専用のハーブティーを作り販売することで解決した。それには、日本の助産師さん、英国のメディカルハーバリストの協力を得て共同開発し、飲んだ妊産婦さんや産後ママの口コミで広まった。今は日本の産婦人科医院の15%で配られている。楽天のショップ・オブ・ザ・イヤーにも選ばれた。

 また、バングラディッシュでは、貧しい人が多くいる。今度は、田口さんと仲間は、牛に注目した。イスラム教では、年に2回、イードという儀牛祭があり、裕福な家庭では牛一頭を神様に捧げる。このとき、多くの牛がささげられる。後に残る大量の牛皮に注目したのだ。日本の革職人の技術指導で、革製品を作った。自社工場、2年間で300名の雇用を実現できた。

  田口さんの会社では、日本、韓国、台湾、ミャンマー、バングラディッシュ、5か国、7拠点で、約500人が働いている。30億円の売上を上げている。「稼ぐことと社会貢献は両立できる。」「特別なことは何もしていない、社会問題を見つけて解決するだけ」という田口さん。「社会貢献をしたいけど、生活のために働かなきゃいけないし、、、」という、もやもやに向き合って、そのもやもやを大切して1歩踏み出す勇気と、「むずかしいけど、どうやったらできるか?」を考えていくことが大事ともいう。座右の銘は、「人生の価値は、何を得るかではなく、何を残すかにある」。

 社会起業家のプラットフォームになるべく、会社の形を変えた。複数の社長が名を連ねる形にして、それぞれがやりたいテーマを応援する形に変えた。

 「日本でいちばん大切にしたい会社は、素晴らしい本ですよね。」と田口さん。福岡に会社見学を誘ってくださった。行ってみたい。

ソーシャルビジネスで世界を変える 株式会社ボーダレス・ジャパン
www.borderless-japan.com

人生の価値は、何を得るかではなく、何を残すかにある。Kazunari Taguchi
https://www.youtube.com/watch?v=cjtmDEG-B7U

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