企業内の喫煙問題に思う

厚生労働省が毎年、国民栄養健康調査で
成人喫煙率の調査を行っている。
その最新の2016年統計によると、
現在習慣的に喫煙している成人の割合は18.3%。
性別にみると、
男性30.2%に対し、女性8.2%となっている。
ちなみに、この10年間のデータを見ると、
男女とも喫煙率は減少傾向にあり、
喫煙者が減少していることが分かる。

この流れもあってか、近年、全社禁煙、喫煙者を採用しない
という方針を打ち出す会社が増えているように思われる。

神奈川県のあるシステム会社も、全社禁煙を進める会社の1つだ。

ただし、この会社がそれを開始したのは2001年のことであるから、
ここ数年の禁煙・分煙問題の影響からではない。
それ以前も、オフィス内では、健康被害・火災防止などのため禁煙とし、
喫煙場所は社内外部に設けていた。

そこからさらに進んだ全社禁煙になった、きっかけは、
社内の非喫煙者からの声であった。

「オフィス内で喫煙しないとはいえ、
それでも受動喫煙など健康被害につながる」

「ミーティングが長引くと、喫煙者がすぐタバコ休憩を
とるので、その度待たされ、さらに長引く」

「喫煙所にいるときに、重要な電話がかかってきても
つなぐことができない」

「社員旅行や懇親会などで喫煙者と非喫煙者を
分けなければならず、十分なコミュニケーション
が取れない」

などといったものである。

これらの声に耳を傾け、当時、ヘビースモーカーであった社長はじめ、
全社員が参加する会議の中で

「オフィス内はもちろん、社員と一緒に外で禁煙する」

という全社禁煙が決まった。

ただし、いきなり全社禁煙を始めたわけではない。
徐々に喫煙者を減らすため、様々なルールを準備した。

そのいくつかを紹介すると、

まずは7分ルール
(喫煙所に行く前に、自分のデスクに旗を立て、タイマーを7分にセットし、
それ以内に戻ること)を設けた。時間をオーバーしたら、ペナルティー
として1,000円を支払うというもの。
ちなみに、7分の根拠は、急いで喫煙場所に行き、たばこ1本を吸い、
直ぐ戻ってくる時間が、社内で測ったところ7分だったから。

次に喫煙場所にいる間に、その人に電話がかかってきたら、
ペナルティー1,000円などといったものである。

ちなみに、ここで発生したペナルティーの1,000円は
懇親会への寄付となることが社内で決定されていた。

これまで喫煙していた社員達も、

「こんなに忙しい思いをするなら、タバコをやめよう」

「いつ、お客様から電話があるかもわからないから、
タバコをやめるようにしよう」

という声が出始めた。

それは実際に、社員の喫煙率の低下にも表れ、
2000年当時30%以上いた喫煙者が、2006年には4%に。
そして2011年には0%になったのである。

全社禁煙が達成されたのは、社内の中で、喫煙者を減らす
取り組みをしたことももちろんあるが、より大きかったのは、
ヘビースモーカーであった社長が率先して、禁煙に取り組み、
成功した姿を社員に見せたことも実は大きかった。

社長は
「会社の一番トップに禁煙の意識があるかどうかが全社禁煙へ
移行する上で最も必要なこと」
と話してくれた。

最後に、私自身は喫煙者ではない。

また喫煙者から聞く

「タバコを吸う場に集まる他部門の社員との情報交換の場になる」

「タバコを吸っている時が、頭をリラックスさせ考えをまとめる
時間になっている」

ということも理解はできないわけではないが、社内禁煙がもたらす
効果について、自身の健康問題も含め、検討する余地はあるように思う。

人を大切にする経営学会 事務局支援スタッフ 坂本洋介

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