齋栄織物さんに学ぶ強いチーム

福島県川俣町の絹織物製造販売業、齋栄織物株式会社さんは、世界一薄い絹織物、フェアリー・フェザー(妖精の羽)の新商品開発に成功して、「2012年ものづくり日本大賞 内閣総理大臣賞」を受賞しています。社員数17名(うち女性は14名)です。

齊栄織物さんのフェアリー・フェザーの開発には、製造面で女性たちの力が重要な鍵を握りました。糸を織る作業は億個の穴に糸を通す細やかな作業の繰り返しで、根気強さを要します。

また、働く女性たちは、家へ帰れば、母であり妻であり娘であり、家庭での役割も担っています。家庭と仕事への愛情と責任のバランスを安定させる会社側の配慮があって、女性たちはいい集中力を持って仕事ができるのだと思います。

ときに、坂本光司教授の「女性の働きやすさ指標」のアンケートを、私の修士論文のために、齋栄織物さんに実施していただいたところ、なかなか60点台を挙げる企業が少ない中、66点と断トツの高得点でした。アンケート内容は、子育て、介護、記念日、就業条件、職場環境、教育、生活、健康などと多岐にわたる50項目にイエスかノーで答える100点満点のものです。(結果の数字を見て、自社判断ができます)

遠回りに思われますが、女性の働きやすい職場づくりに注力することは、チーム力の底上げと勝利へつながる近道だと考えます。

            

実は、フェアリー・フェザーの開発の途中で、東日本大震災が起こりました。機械は床に固定されていたため損壊を免れたものの、壁が崩れたりと工場の一部に被害が出ました。

震災の翌日には、7割の社員が会社が心配で出社して、みんなで修繕作業に取り掛かりました。そのとき、社長の齋藤泰行さんは、「自分が思っていた以上に、社員は会社を思っていてくれていた」ことに感動して、「絶対にフェアリー・フェザーを完成してみせる」と心に強く思いました。

社長のリーダーシップの下、織り手の女性たちを中心に社員が一丸となって、この危機を乗り越えての開発成功でした。霞が関での授賞式には、織り手の女性陣を引き連れて10数名で臨み、喜びをみんなで共有しました。

受賞後に織り手のお母さんが小学生の娘さんから、「お母さんの娘で良かった」と言ってもらったと嬉しそうに社長に報告しました。開発成功の結果、世界の一流アパレルブランドと契約できたとか、売上や利益が上がったとか、嬉しいことは多々あるのですが、「娘さんのこの言葉が一番うれしかったー」と心底語る社長から、私は、齋栄織物さんの会社に流れる、目に見えない力を垣間見た気がしました。

ところで、坂本光司教授のご本に「強く生きたいと願う君へ」があります。その中に、「喜びも悲しみもともにする そんなチームを持ちなさい。」の一節があります。

           

『ともに働く仲間と喜びも悲しみもともにすることです。そうした経験を重ねるなかで、お互いに信頼関係が生まれ、その信頼関係こそが強いチームの基礎をつくってくれるのです』

『私たち、一人ひとりは弱い存在です。だからこそ、力を合わせて強くなろうとしているー。本当に強い人は、このことを知っているのです。』

ワールドカップが終わりました。チーム員の間の目に見えない信頼感は、勝利への寄与度が大きいと感じました。

人を大切にする経営学会 東北支部 本田佳世子

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