日本理化学工業株式会社【No16いい会社視察2013/7/10,2014/5/30】

今回は2016年3月の「第6回日本でいちばん大切にしたい会社大賞」にて審査委員会特別賞を受賞された『日本理化学工業株式会社』さんをご紹介致します。
2013年と2014年に坂本ゼミの視察やプロジェクトとして訪問させていただきました。
http://www.rikagaku.co.jp/index.php

日本理化学工業は現社長の大山隆久氏の祖父;大山要蔵氏が1937年に創業。要蔵氏の病気もあって息子であった泰弘氏(現社長の父)が大学卒業後に専務として入社。要蔵氏の奥様の社長を経て泰弘氏が1974年に代表取締役に就任。
主な事業は創業時からチョーク製造です。長年国内シェアトップになっています。

同社を語る上で、障がい者とのあゆみは同社の歴史そのものと言ってもよいくらいではないかと思います。水が高いところから低いところへ流れるように、同社が障がい者雇用に取り組んできた歴史は、ほんの少しの水が少しずつ量を増してきて今では世の中に大きな川となって流れていると感じます。

1960年、同社は2名の知的障がい者を雇用してから現在にいたるまで職場には障がい者がずっと働き続けています。当時同社は東京都大田区にあった時、すぐとなりに障がい者施設があり、施設の先生から“二人の生徒を雇用してほしい”という依頼がきっかけでした。その先生は根気強く3度も訪ねて来られ、“就職できないと施設で一生過ごすことになる”という言葉に、大山泰弘社長(現会長)は“かわいそうだ”との同情から、“せめて働く経験だけでもさせてあげたい”との思いで2週間だけ受け入れます。ところが2週間たった時、受け入れ部署にいた社員から、“二人がいなくなると困る、これからも雇ってほしい”と言われます。
大山会長はお二人の真面目な働きぶりを見ていたこともあり、社員として雇用することを決めます。決して障がい者雇用に対して社会的な責務を意識していたわけではなかったといいます。始まりは“同情”からであったとしも、この判断が日本における障がい者雇用の歴史において重要だったと、のちの歴史が証明していると感じます。

同社と言えば、大山会長の“障がい者は施設にいれば働かなくても生活できるのに、なぜ働くのか?”という疑問について、法事でお坊さんが答えた言葉が『人間の究極の4つの幸せ』となって、今では多くの人に知られています。障がい者という区別ではなくすべての人に共通した幸せとして多くの人々の共感を生み出しています。
大山会長はこの時の法事の経験から一人でも多くの障がい者を雇用するが同社にできることと捉え、現在に至っています。
http://www.rikagaku.co.jp/handicapped/index.php

<障がい者雇用の数>
2013年3月 従業員数76名中、障がい者56名(うち重度障がい者26名)
 (計算上、障がい者雇用率は82÷76=107.8%となります)
2018年2月 従業員数85名中、障がい者63名(うち重度障がい者 未確認)

この数字を見ても、同社の約80年の歴史の中で、1960年から58年間に渡って障がい者雇用を継続・拡大してきた大山泰弘会長、大山隆久社長の行いが偉大で崇高なものであるか、その一端を感じることができます。

実際の工場では、特に当初は障がい者に仕事をこなしてもらうための試行錯誤が続きます。ある時、障がい者が通ってくるときに信号の色を識別していることからヒントを得て、字が読めず数字の単位が理解できない障がい者でもわかるようなさまざまな工夫が取り入れられました。例えばチョークをつくるための原料配合について、天秤に色付きの重りを乗せて均一にさせることで解決しています。
知的障がい者は彼らの理解力の中で安心して作業できるようにしてあげて、見守ったり声をかけたり褒めてあげることが重要だ、と大山会長は語ってくれました。

2009年、同社は渋沢栄一賞を受賞しています。その年は個人2名と日本理化学工業1法人が受賞します。大山泰弘会長は2個人は多くの寄付金をしている中、なぜ同社が受賞できたのかを事務局の人に聞いてみたところ、“障がい者が20~60歳までの40年間を施設で暮らす場合、一人につき2億円の費用がかかる。日本理化学工業はすでに50年以上にわたって障がい者を雇用することで国の財政に大きく貢献している”というものだったそうです。

日本理化学工業株式会社がこれからも永続していくことが日本の産業界にとって重要なことであると改めて認識させていただきました。

***補足***
この投稿では2012/4~2018/3までの6年間法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室で経験した【いい会社視察】・【プロジェクト】・【授業で学んだこと】を中心に、毎週火曜日にお届けしております。少しでもお読みいただく皆さまのお役に立てれば嬉しい限りです。個人的な認識をもとにした投稿になりますが、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(桝谷光洋)

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