株式会社ラグーナ出版【No43いい会社視察2014/2/24】

今回は2014年2月に坂本ゼミ春合宿先のひとつとしてご訪問させていただいた『株式会社ラグーナ出版』さんをご紹介致します。同社はメンタルヘルスに関する本の出版や精神障がい者の自立訓練(生活訓練)を行っている鹿児島市の会社です。そして坂本先生の書籍「日本でいちばん大切にしたい会社3」に掲載されています。

http://lagunapublishing.co.jp/

●概要
代表者 代表取締役 会長 森越 まや
代表取締役 社長 川畑 善博
所在地 鹿児島県鹿児島市西千石町3番26イースト朝日ビル3F・4F
設 立 2008年5月
資本金 1000万円
スタッフ数 出版、就労継続支援A型事業7名
自立訓練(生活訓練)事業3名 (2015年7月現在)
利用者数 就労継続支援A型事業30名(1日定員20名以下) (2015年7月現在)
事業内容 出版事業、製本工房事業、印刷物制作事業、小売事業、就労継続支援A型事業、自立訓練(生活訓練)事業

●設立のきっかけ
ラグーナ出版の前身は鹿児島にある精神病院にかかわっていた患者、医師、看護師の方々がきっかけとなっています。2006年のことでした。メンバーは何ができるか考えたとき、患者さんの中に文章を書く人が多かったことが手掛かりとなったと言います。そしてNPO法人を設立して文芸誌『シナプスの笑い』を刊行したのが活動の始まりでした。
次第に反響が広がったことから2008年「株式会社ラグーナ出版」を設立します。
精神の病気は病院では治らないと考えています。働くことを通して、精神の病気を回復させることを目的としていることが何よりも同社の特徴であり、精神障がいを抱える人たちとともに、本作りや会社運営を行っています。従って同社の存在自体が大変に意義のあることなのです。
あるとき、『日本でいちばん大切にしたい会社』を読んだ社員さんが坂本先生へ手紙を出したことがきっかけとなり、坂本先生がラグーナ出版の存在を知ることとなって出会いが実現します。その出会いがきっかけとなってラグーナ出版を知る人が増えていきました。
『シナプスの笑い』は現在36号となっていて同社を象徴する書籍です。

●森越会長と川畑社長の印象的なお話
“いざ始めてみると地域の中では温かく受け入れてくれた。逆に病院が閉鎖的だと感じた”、“日本は障がいをもつと生きにくい社会”
“全国に精神疾患の入院患者は33万人いますが精神の不調は目に見えない”
“精神科では病名、診断、症状、経過も一人一人まったく違う”
“ラグーナ出版をとおして多くの人達と出会いがあることが障がい者にとって良い”
“みんな働きたい”
と印象的なお話を伺いました。

●坂本研究室で同社に出版をお願いした書籍
2014年5月 『幸せな職場のつくり方』 (坂本光司、坂本光司研究室:著)
2018年3月 『いい経営理念が会社を変える』 (坂本光司、坂本光司研究室:著)
2018年7月 『最終講義』 (坂本光司、坂本光司研究室:著)(非売品)

●最後に
障がい者とか健常者とか発達障害とか、名称を付けたり制度化して区別することが普通のようにされている今の時代ですが、どんな人も人とは違う多種多様な肉体的精神的な個性を持っていることが当たり前なのだと最近常に感じます。
そもそも常に健な人という健常者はどんな人なのでしょうか。社会の枠組みや制度のために区別することが必要とされた時代はそろそろ役割を終えてよいのではないでしょうか。
これからは多様性を認めあう社会であることが必要なのだと感じます。
そのことが深い人間性や豊かな社会を生み、未来志向で成熟した社会に繋がっていくのではないかと思います。
ラグーナ出版さんのような個性豊かな活動が、皆さまに多くの示唆や行動のきっかけになるといいなと思います。

***補足***
この投稿では2012/4~2018/3までの6年間法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室で経験した【いい会社視察】・【プロジェクト】・【授業で学んだこと】を中心に、毎週火曜日にお届けしております。個人的な認識をもとにした投稿になりますので、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(桝谷光洋)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です