『ある「人を大切にし続けた」経済学者のこと』

 昨年8月逝去された関西大学名誉教授森岡孝二先生の追悼シンポジウムが2月23日大阪市で開かれ306名が参集しました。森岡先生は大企業の不正を市民株主の視点から追求する「株主オンブズマン」を結成した行動する経済学者で、温かいお人柄の方でした。それを物語るエピソードの一つですが、愛娘から全盲の上方落語の噺家さんとの結婚の意思を打ち開けられたとき、まだ彼とは会ってもいないのに二つ返事でOKしたそうです。当の噺家さんはそのことを知って、お相手の家を初めて訪れることになったとき「どんな父親が待っているのだろう・・・」と相当考え込んだとか。
 森岡先生は、過労死防止法制定実現に精魂を傾けられた方です。過労死・過労自殺は、“人を大切にしない経営”から生まれますが、このシンポジウム終了後のレセプションの二次会で、過労死遺族の会の方々と相席になりました。二次会らしい楽しげな会話の輪に加わりながらも、しばし言葉を選び大切な家族を失ったことへの思いを今生きていることに自責の念を覚えているかのように語る方ばかりで、そういう方々の思いに応ずる言葉を持ち合わせていない自分を感じながらのひとときになりました。残された家族内だけではなく親戚をも巻き込んで人間関係に闇を広げ複雑化させて行くこの種の事件への対処の難しさを聴き、この問題の罪深さを知りました。
 会場では、「週刊エコノミスト」記者時代に労働・雇用問題に鋭い洞察をされていた現毎日新聞新潟支局長のS・Tさん、「ブラック企業」という現代用語の生みの親のNPO法人代表H・Kさん、過労死問題では第一人者の弁護士H・Kさん、最近「企業ファースト化する日本」を岩波書店から上梓された元朝日新聞記者で現和光大学教授のM・Tさん、昨年名古屋市交通局のバス運転士のパワハラ焼身自殺事件をテレビマンの立場から追い続けその顛末を書籍化した毎日放送のディレクターK・Oさんともお会いしました。

人を大切にする経営人財塾 山田 裕幸

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