自由にできない個人事業主は、本当に経営者か
世の中は、10連休ですが、コンビニエンスストアーは、24時間開いていて無縁の話です。
セブンイレブンの大阪府東大阪市のような店舗のオーナーのように、本部に公然と反旗を飜すようなケースが表面化してきています。しかし、このことは、今に始まったことではありません。私が前職で20年近く前、某ドラックストアーの戦略策定の仕事をしていた際、そのドラックストアーのご子息で当時の経営企画室長のが、大学を出た後、修行も兼ねて、セブンイレブンでスーパーバイザーを経験していた頃のことを話していました。
「自分の娘を学校に通わせる年収が得られない。何とかして欲しい。」
と、泣きながらもオーナーから頼まれて対応に困ってしまったそうです。
以前から、数多くの訴訟がありましたが、マスコミは、その業績の良さから、絶賛し、当時のトップの鈴木敏文氏の書籍も数多く出ました。
本部の指示に反するような動きが出た場合、オーナー側が違約金を支払うか、違約金なしで閉店するかを迫られるといった脅しとも傍から見れば感じることが当たり前に行われきました。人出不足で人件費が上がり、限界に達したのだと思います。東大阪のオーナーに限らず、複数のオーナーが堂々とテレビで本部批判を公然としたことから、セブンイレブンも24時間以外の実験店舗で検証をスタートさせています。
個人事業主といっても、その性質は大きく異なります。
本当かどうかはわかりませんが、芸能人の収入が安いとしてよく名前が上がる事務所「吉本興業」です。吉本興業の芸人は、その収入の安さをネタにしていますが、全然売れない時代は数千円や数百円で、弁当代だけで生活できないといった話も聞きます。
3月16日の東洋経済オンラインの記事に次のような内容があります。
「コンビニエンスストアのオーナーは労働者なのかーー。
コンビニの24時間営業に世間の関心が集まる中、業界にとって注目の判断が下された。
労働組合と使用者の間の労働争議を調整する中央労働委員会は3月15日、セブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマートとそれぞれ加盟店契約(フランチャイズ契約)を結んでいるオーナーらが「会社側が団体交渉に応じなかったことは不当労働行為だ」として救済を申し立てていた事件について、オーナーらの申し立てを棄却する命令を出した。
命令の中で中労委は「加盟者(オーナー)は、独立した小売事業者であって、労働契約に類する契約によって労務を供給しているとはいえない」「加盟者は、会社から労働供給の対価として報酬を受け取っているということはできず、加盟者の事業者性は顕著である」などとし、「加盟者は労働組合法上の労働者に当たると評価することはできない」と判断した。
詳しくは、https://toyokeizai.net/articles/-/271445
数日前、公正取引委員会が24時間営業を巡り、独占禁止法の適用の可能性を指摘したニュースが流れましたが、
「加盟店オーナーと契約を結んでそれに基づいてやっていくのがベースだが、それぞれの対応は柔軟に協議しながらやっていく。24時間については、最後はオーナーに判断をゆだねるという形でやっていくので、今回の公正取引委員会の指摘については、我々は問題がないと受け止めている」
といったセブンイレブン側はコメントを出しています。
もちろん、契約社会の中で、脱サラしたり、酒屋さんから大手コンビニエンスのフランチャイズを選択したのは、オーナー本人であり、サインしたのも間違いないでしょう。自己責任といった見方もできるでしょう。
しかし、何かしっくりきません。吉本興業をはじめする芸人は、少なくとも自己決定の自由度が高いのに対して、フランチャイズでは、ブランド維持、戦略遂行のために、細かく規定があり厳しい罰則があります。
ある意味、一般の勤め人以上に厳しいのではないでしょうか?
私自身は、「選択できる」といったことは、人間にとって非常に重要であると感じています。
個人的なことで恐縮ですが、10連休など、私自身も無縁で、今日は広島、明日は埼玉と半分の5日間は仕事を行い、後は、本の執筆、テキスト作り、面談、ミーティングでほぼ埋まっています。
しかし、これは、私自身が選択していることであって誰から強要されたものでもありません。
芸術家が、時を忘れて絵を描いているとき、労働というのが似合わないと同じはないかと思います。
少し古いですが、吉田拓郎のヒット曲「人生を語らず」の出だしは、
朝日が昇るから
起きるんじゃなくて
目覚める時だから 旅をする
教えられるものに 別れを告げて
届かないものを 身近に感じて
ですが、
自分で行動すると決めたから行動するのであって、行動しなさいと教えられたからではなく、
教えられるもの=常識や一般論に、別れを告げる、
届かないものと教えられたものを身近に感じる
といったメッセージが好きです。最近、キンキキッズの堂本剛がカバーして話題になりました。とても懐かしく感じます。
忙しくて大変ですね・・と言われますが、気持ちとしては、社会に出てから今まで、
「自分で自分に給料を払う生活がしたい。そうすれば、誰に対しても言いたいことも言える」
と思ってやっていますので、苦痛ではなくむしろ気が楽です。
法律的な論議も大切ですが、むしろ、企業経営に関する考え方が重要だと思います。
坂本光司会長が、長年言われているように、「関係者の幸せ」を企業経営の目的と考えたら、思いやりがある解決の糸口が必ず見つかるのではないでしょうか?
「関係者の幸せ」を前提としたビジネスモデルへの変換が、人口減少時代には、セブンイレブンに限らず、多くの業種・業態で求められるに違いありません。
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