株式会社 えと菜園【No56いい会社視察2017/9/22】

今回は2017年7月に坂本ゼミの視察としてご訪問した『株式会社 えと菜園』さんをご紹介致します。当日は代表の小島希世子社長にお話を伺いました。2014年に出版された『ホームレス農園』(河出書房新社)の著者でもあります。「安心安全な食」と「様々な理由で社会的に排除された人達の職」に向き合ったソーシャルビジネスをおこなう同社訪問は個人的にも大変興味をもって伺わせていただきました。

●概要 (現在のHPから)
名称 株式会社 えと菜園 http://www.eto-na-en.com/
代表取締役 小島 希世子
設立 2009年法人化
資本金 1,000,000円
住所 神奈川県藤沢市葛原1100-9
営業内容
・農薬を使わない栽培による農産物生産・販売
・農作業を活用した企業研修
・農福連携導入サポート
・貸し農園
・体験農園の運営
・野菜作りセミナーの開催
・直売所運営
受賞
・横浜ビジネスグランプリ2011ソーシャル部門 最優秀賞受賞
・内閣府地域社会雇用創造事業(横浜地区)最優秀賞受賞(2011)

●設立までの経緯
小島社長は熊本県生まれ。農村地帯で牛と生活をしている近所の農家を見ながら育った影響で農業を志しました。野菜の産地直送の会社に勤務したのち、熊本県の無肥料農薬不使用栽培・オーガニック栽培に取り組み、農家の奥さんたちと農家直送のネットショップを立ち上げ、2009年に株式会社えと菜園として法人化しました。

●訪問時(2017年)の主な事業は3つ
①就農支援プログラム&農産物生産・販売

人手不足である農業と働きたいけど働けなかった人をマッチング。(ホームレス、生活受給者、引きこもり、出所した人、障がい者等)
数年前はリーマンショック後であり40代、50代の男性が多かった。
最近では引きこもり、出所した人など20代が増えていて、さらにさまざまな理由の人が増えています。
例えば引きこもりの人達はコミュニケーションが苦手な人が多く、自己の存在理由を見つけられなかったり、自己を否定してしまいがち(否定させられがち)ですが、農を通して、“生きていていいんだ”、“生きていればいいんだ”と思えるようになると言います。そのお話はまるで、いつの間にか畑に蒔いた種が芽をだして育っていくように、生命力の弱った人が畑にいることで生き物としての本能がはたらきはじめ、生きる力を取り戻していくかのような光景に映りました。
ある事情で仕事を辞め引きこもってしまった人は、“自分が一番不幸だと考えていたが、この農場でホームレスの人と話すうちに変わった”と言います。
今まで75人中31人が就職しているのです。
収穫した野菜は週末に農園の直販所での販売やスーパー等への卸販売をしています。
②オンラインショップえと菜園
熊本のある農家の奥様と意気投合したことで始まります。ご主人は農薬を一切使わずにおコメ作りをしていました。しかし販売先のJAではどんなにこだわったおいしいお米を作っても“1俵(60kg)いくら”という仕入れでしか判断されません。美味しさを知った近所の農家からは、どうせJAに販売するのならうちのコメと交換してほしいと依頼されるほどでした。
今では16軒の農家と価値観や思いが共有されネット通販事業を行っています。
③体験農園コトモファーム(貸し農園)

神奈川県藤沢にあります。この土地を使わせてもらえるまでには2年半かかりました。
1区画7坪と広めで年間20種くらいの野菜を栽培できるのです。伺った時点では0歳代~70代まで100家族が契約していて、年間延べ5000人が畑を利用しています。お客様の地域的な分布としては藤沢市内約50%、東京約20%、横浜川崎約10%、その他となっています。
会員同士で関係が生まれています。春先の苗植え時期は多くの来場者があり、例えば車の駐車場所の案内などは自然に会員同士で協力しあっているそうです。

●小島社長のお話
“今の時代は人間を細かく区分しすぎている”と言います。画一化ともいえるでしょう。今までの日本では同じような人作りが中心になされてきました。そうではなく、“多様であることをお互いに認め合えば多様な価値観が生まれる”といい、そのことの大切さを感性として発信してくれました。理屈ややり方ではない、まさに在り方を体現していると感じました。
“派遣切りにあった人などは心が繊細で優しい人が多い”
“人間社会では優しすぎると傷つきやすい”、すっと心に届く言葉に共感を覚えます。
“事業は人が幸せになるためのツール”とあっさりおっしゃった小島社長。まさに人を大切にする経営学会と同じ志であると確信した言葉でした。

●最後に
ゆっくりした事業展開に少し危機感をお持ちでしたが、人の成長に合わせたゆっくり成長が正しい経営であることや、今まで社会の影に隠れていた人にそっと手を差し伸べる同社の取り組みは、正しい道のなにものでもありません。同時に日本の国作りの在り方を考える機会となりました。
感性が豊かでぶれない心を持っている小島社長。懐の大きさ、ちょっとやそっとでは動じない、遥か彼方を見据えている姿に大きな共感を覚えました。

***補足***
この投稿では2012/4~2018/3までの6年間法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室で経験した【いい会社視察】・【プロジェクト】・【授業で学んだこと】を中心に、毎週火曜日にお届けしております。個人的な認識をもとにした投稿になりますので、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(人を大切にする経営学会会員;桝谷光洋)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です