男性の育児について考える

すでに報道されているように、
三菱UFJ銀行が2歳未満の子どもを持つ
全ての男性行員を対象に、育児のための休暇を
1ヶ月取得することを事実上義務付ける制度を
5月から始めると明らかにした。

それによると、出産の約1ヶ月半前をめどに、
育休取得の計画書を上司に提出する仕組みもつくるという。
また育休期間の過ごし方や、家庭の状況などを
任意で書いてもらい、周囲の理解を得やすくすることも
検討している。
対象となる行員は1,200人程度で、
制度の活用を徹底させるため、
部下の取得状況は、上司の人事評価に反映させるという。

男性育休を制度として義務化するというのは、
少々乱暴にも思えるが、
これまでの我が国男性の育児休暇取得率の推移をみると、
それも致し方ないと思える面もある。

厚生労働省「平成 29年度雇用均等基本調査」で、
育児休業取得率を見ると、
女性は平成27 年10 月1日から平成28 年9月30 日までの
1年間に在職中に出産した女性のうち、平成29 年10 月1日
までに育児休業を開始した人の割合は83.2%と、
前回調査(平成28 年度81.8%)より1.4 ポイント上昇した。

一方、男性のそれは5.14%と、前回調査(平成28 年度3.16%)
より1.98ポイント上昇しているとはいえ、
依然として低水準と言わざるを得ない。
しかしながら、平成8年の同調査では0.12%であったこと。
また平成24年調査から6年連続上昇中という結果を考えれば、
その意識は年々あがってきていることは間違いない。

ただ、今後ますます女性の社会進出が進み、
女性にさらなる能力発揮をしてもらうことが必要不可欠となる。

高度経済成長期には「男は仕事、女は家事」という考え方もあったが、
もはや時代遅れと言わざるを得ない。
これについて、内閣府が調査をしている。
「男性は仕事、女性は家庭」という考え方について、
男女全体では、平成19年調査で「反対」が50%を超え、
平成26年調査では「反対」が増加し、過半数となった。

しかしながら、実際には男性の育児休業は思うように進んでいない。
ある民間企業の調査結果によると、
育児休暇を利用しなかった理由として、
男性が女性を大きく上回っていたのが
「業務が繁忙で職場の人手が不足していたから」
「自分にしかできない仕事や担当している仕事があったから」
「収入を減らしたくなかった」
という回答だった。

いずれも、男性の意識の問題と言わざるを得ない面もあるが、
筆者がこれまで訪問調査をしてきた育児休業を積極的に
活用している企業では、その対策の1つとして、
社員の多能工化・マルチタスク化が進められ、
属人的な業務の削減が行われていた。

多能工化の弊害を訴える意見があることも承知しているが、
少なくとも、多能工化を進めることで、自分にしかできない
仕事はなくなるだろうし、業務の繁忙期がきたとしても、
社内ローテーションでやり繰りできるはずで、
男性社員が感じる育児休業への後ろめたさも軽減されるはずだ。
同時に、社内にはお互い様の風土も醸成されるだろう。

自分の子供のための育児の時間を取りたくない男性はいないはずで、
その促進のためにできることはまだまだあるはずだ、

人を大切にする経営学会事務局支援スタッフ 坂本 洋介

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