「志」格差

坂本光司教授の「人を大切にする経営学講義」より「経営理念・高い志の高いとは 求められる高い志」からの抜粋しています。

「志」格差

よい企業はそもそも経営への思い、気迫、考え方が、一般企業とは決定的に違う。「将来こういう企業になりたい」とか「こういうことを通じて世のため人のために役立ちたい」といった企業経営に対する熱き思い、志を抱いている。

なぜ志、とりわけ高い志が重要なのか。なぜ志のいかんによって、企業間に大きな格差が発生してしまうのか。それは、おおむね次の三点によるものと思われる。

第一点は、高い志を示せば示すほど、場当たり的・戦術的ではない、原理・原則的な企業経営の発想と行動が生まれる。そればかりか、社員一人一人が、自然必然的に自己研鑽を図るようになるのである。

第ニ点は、トヨタ、ホンダ、京セラなどといった世界的企業は皆、創業当初の従業員が数名程度の時代から、つねに「世界的企業になる」という高い志を全社員を前に掲げていた。これらの企業の志はじつに高く、結果として努力、解決しなければならない問題が大きくなる。これにより、これらの企業は今日の繁栄を勝ち取ったのである。

第三点は、マズローの「欲求の五段階説」による、第五の自己実現欲求、さらに第六の「自己超越欲求」が中心となっている社員や顧客のためにも、高い志が必要なのである。
・人は皆、いつも成長したいと思っている。
・人は皆、他人に認められたいと思っている。
・人は皆、よい仲間にめぐり会いたいと思っている。
・人は皆、自分の仕事、職場に誇りを持っていきたいと思っている。
・人は皆、程度の差こそあれ、社会に貢献したいと思っている。
・人は皆、重要事項の決定に参加したいと思っている。
・人は皆、快適な職場で働きたいと思っている。
・人は皆、自分らしい生き方をしたいと思っている。
・人は皆、楽しい人生を送りたいと思っている。
・人は皆、豊かで安定した生活を送りたいと思っている。

つまり、こうした社員のありたい姿や欲求を満たさなければ、人財の確保はもとより、人財の育成・定着もままならない時代に突入したのである。
企業は社員の高次の欲求を満たすためにも、高い志を掲げることが必要不可欠なのである。

(人を大切にする経営学会 東北支部 本田佳世子)※池袋サンシャインにて

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