株式会社ぶどうの木【No64いい会社視察2014/9/7】

今回は2014年9月に坂本ゼミの北陸合宿先としてご訪問した『株式会社ぶどうの木』さんをご紹介致します。当日は当時代表取締役社長だった本 昌康さまにお話を伺いました。

●概要 (現在のホームページから) https://www.budoo.co.jp/
社名 株式会社ぶどうの木、有限会社本葡萄園
代表者 代表取締役会長 本 昌康 (1952年3月31日生)
代表取締役社長 本 康之輔(1975年11月24日生)
法人設立 1985年2月1日
資本金 20,000,000円
所在地 石川県金沢市岩出町ハ50-1
従業員数 311名(2015年5月現在)
店舗 レストラン12店、洋菓子工房8店、まめや金澤萬久6店、銀座のジンジャー3店

(以下は視察時に伺った内容です)
本社には店舗、ブドウ園、チャペル、式場があり複合施設になっています。年間2~3万人が訪れます。また併設しているCafeスペースは毎月3000~4000人が利用。本社の施設全体で売上の20%程を占めているということでした。
ぶどうは1粒40g、1房1~2万円になるものもあります。式場利用者は年間140組と伺いました。

ブドウ園は6000坪、夏の収穫時期にはアルバイト2,3名を加えた5名ですべて対応しています。その人数の少なさに少々驚きでした。

●目指すは“見せる農園”
同社は“見せる農園”を目指しています。ブドウはそのためには適しているということでした。
同社はブドウ以外でもアイデア豊富で、例えば絵師が九谷焼に絵を描いた容れ物を使用した豆箱は、視察当時では月に2,3万個もの販売実績がありました。
また、金箔をあしらったカステラや、温めることができるおせち料理、さまざまな形に切ることができるフランス製のカッターの設備導入(例えばハート型にきることができます)など、見せる農園のための施策は続いています。
 屋根のある明るい施設の中で間近にみることができるブドウ

 2階へ進む途中から見下ろせるブドウ

同社ではブドウを消毒するために化学肥料を使用していると言います。ぶどうの木は肥料を覚えると言い、毎年決まった種類を与えています。しかし地上のみに与えるようにしていて、土の状態は変えないとのことでした。安心安全への配慮がなされていました。
一般的な話として、例えば種なしブドウは人為的に成長剤を加えることでブドウが種を作れないようになると聞いたことがあります。農業の現場では、品種改良や商品化などの考え方は現代科学の進歩だけではなく、栽培方法や世の中のニーズなどがからまって、まるで企業理念のように奥が深いものだと感じました。

●アメーバ経営
同社は20年ほど前からアメーバ経営を導入していました。ほぼ全員参加型で採算重視による経営を実践し、全社をあげて経営に対して真剣に取り組まれていたことがわかります。
社員一人一人が経営感覚を持てるようにしていることで、見せる農園としてのさまざまな企画が社員の皆さんから持ち上がってくることが想像できました。掃除もチーム単位になされていて、その業務はコストと考えていました。
毎日、社内新聞を発行していて、伺った当日は23ページの量だったと教えてくれました。365日毎日欠かさない発行です。
フィロソフィーの浸透が日々実施されていることが同社の最大の強みであり基盤だと感じました。そしてこの基盤は少しずつ強固なものになっていくのです。
企業として理念を掲げ、全社員が意識すべきことを明確にし、取り組んでいく姿勢は、良い会社の重要な共通事項です。

●最後に
同社の前身は本家のブドウ農園です。1982年にティーガーデンを開業し6次産業化が始まりました。今では多くの施設を運営し、“見せる農園”が進行しています。1次産業に携わる方々にとっては同社の将来像の描き方はとても参考になることでしょう。

***補足***
この投稿では2012/4~2018/3までの6年間法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室で経験した【いい会社視察】・【プロジェクト】・【授業で学んだこと】を中心に、毎週火曜日にお届けしております。個人的な認識をもとにした投稿になりますので、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(人を大切にする経営学会会員;桝谷光洋)

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