ダイアログ・イン・ザ・ダーク【No66いい会社視察2014/7/5】

今回は2014年7月に坂本ゼミの視察先として体験ご訪問した『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』さんをご紹介致します。

あなたは毎日回りの人達につねにお礼を言い続ける人生を想像できますか?

あなたは目以外で何かを見たことはありますか?

ちょっと思考が停止してしまうような状況ではないでしょうか。私自身は2012年に入学した法政大学大学院の坂本先生の授業で初めてダイアログ・イン・ザ・ダークの存在を知りました。そして坂本ゼミ総勢40名ほどで2体験して志村季世恵氏(代表理事)のお話を伺ったことで今までになかった思考が刺激されたことを思い出すのです。

みなさんは白杖を使ったことがありますか?

●きっかけ
きっかけは志村季世恵氏が1993年のある新聞記事で「ヨーロッパには目で見ない展覧会、案内役は視覚障がい者」、そんな施設あることを知ったことです。発案者であるドイツの哲学博士アンドレアス・ハイネッケ氏に連絡を取り、日本で開催の許可をもらいました。
しかし実際に開催までの道のりは厳しいものでした。ヨーロッパでは官民のサポートがあり、チケットは完売という状況でしたが、日本でははじめからそのような状況は望めなかったのです。それでも仲間や企業のサポートを受けながら一歩一歩進んでいきます。日本では1999年11月に初開催が実現、これまで22万人以上が体験しています。

2014年に伺った時点では、入場料は6000円ほどでした。入場料から運営費を賄う必要があるためにチケット代を高く設定せざるを得ない状況でした。主催者としては心苦しい状況でもあったのです。

当時の実施ガイド
〇定員   1組あたり8名まで(知り合いは4名まで)
〇実施数  一日あたり15組まで
〇所用時間 90分

●ダイアログ・イン・ザ・ダークとは
ダイアログ・イン・ザ・ダークは、これまで世界41か国以上・800万人以上の人が体験した暗闇のソーシャルエンターテインメントです。
参加者は完全に光を遮断した空間の中へグループで入り、暗闇のエキスパートである視覚障がい者のアテンドにより空間の中を探検し、さまざまなシーンを体験していくことで五感を再認識するのです。

●五感に関してこんな記載がありました
“いつの間にか小さな自分の感覚に翻弄されていた私達”
人の成長を言い換えると、時間の経過、思考の固定化、変化に気づけなくなった感覚、感性を失った社会的人間化、などと言えるかもしれません。さまざまな表現は別として、暗闇のソーシャルエンターテインメントの体験によって忘れていた感性に気づくことができるのです。

●開催についての新情報
2014年時点では東京都谷区神宮前という立地で長期開催を実現されていましたが、その後移転を余儀なくされました。現在大阪で企業コラボによる企画があります。
そしてついに今年の11月には『心身の美と癒しを求める大人に上質な時間を提供する体験施設』を東京都新宿区(新国立競技場近く)オープンというニュースがありました。
https://did.dialogue.or.jp/totonou/ (新施設のチケット販売開始は夏予定です)

●ダイアログ・イン・ザ・ダークの価値
参加する人が忘れていた感性をプレゼントされる以上に、大きな使命を果たしています。それはアテンドされる視覚障がい者の人達の働く場・社会とかかわる場になっていることです。

★アテンドとして働く視覚障がい者の声★
「私のこれまでの人生は、健常者にお礼を言い続ける人生でした。その人生の中で正直、幸せを感じた事がありません。自分なんか生まれてこなければ良かったと何度も思いました。
でもこの会社で働くようになって私の人生は一変したんです。毎日毎日仕事を通じて健常者の方からお礼を言われる人生になりました。人から「ありがとう」と言われる事がこんなにも幸せだという事を、私は知りませんでした。人の役に立てる喜びを知って初めて、自分が生まれてきて良かったと思う事が出来たんです」
 書籍『どう働く』坂本光司/青木仁志著(あさ出版)より

●概要 https://djs.dialogue.or.jp/
名称 一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ
所在地 東京都中央区日本橋馬喰町2-7-15 ザ・パークレックス日本橋馬喰町3階
設立 2011年11月25日
代表理事 志村 季世恵

神宮前にあった時の入り口
当日いただいた大切な資料
志村 季世恵の書籍(帯は樹木希林さんの印象的な言葉でした)

●最後に
みなさん是非プライベートや職場で体験してほしいです。経営者のあなたは即決をお願いいたします。社内のチームワーク向上だけでなく、実体験として普段経験できない貴重な体験をできること、そして人として思考を多次元的に一回り大きくすることができるでしょう。自己と他者を知る社内研修の枠を超えた体験です。

***補足***
この投稿では2012/4~2018/3までの6年間法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室で経験した【いい会社視察】・【プロジェクト】・【授業で学んだこと】を中心に、毎週火曜日にお届けしております。個人的な認識をもとにした投稿になりますので、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(人を大切にする経営学会会員;桝谷光洋)

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