いい会社をつくりたければいい会社と付き合え~坂本会長、中小企業診断士に講演

 「人を大切にする経営学会」の坂本光司会長は17日、東京都中小企業診断士協会の「人を大切にする経営研究会」(才上隆司代表)で講演した。演題は「こんなことをする会社はいい会社ではない~いい会社になりたければ、いい会社と付き合うことだ」。診断士の全国団体、中小企業診断協会会長で、「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」審査委員でもある米田英二診断士ら42名が聴講した。以下、簡単にその様子を報告したい。
同研究会は米田審査委員の前任である小林勇治診断士が「診断士として学ぶべき経営の姿がここにある」として立ち上げた。坂本会長の著書である「日本でいちばん大切にしたい会社」掲載企業の経営者らを毎月招いており、坂本会長も年1回、講演している。
 坂本会長の講演の冒頭は近況。「日本でいちばん大切にしたい会社7」を2020年2月発行予定で取材中とのこと、直前に訪問した福島や東京などのいい会社の事例に触れていた。
 講演の柱は①いい会社とは②取引すべきではない会社③いい取引の事例。
 まず①「いい会社とは」。プレゼン資料に15項目をリスト(=写真参照)。第1項目は「人員整理をしない会社」。希望退職の募集などに相次いで動く大手企業の姿勢に、「社員を切るなら自分の腹を先に切れ」と厳しく批判、「(こうした経営を続けると)大企業といえでも人手不足倒産が起きるかもしれない」と指摘した。
 そのうえで、間違った経営の根本には間違った(MBA・診断士)教育があるとして「利益とは何か、人件費とは何か、など経営用語を正しく解説した新経営用語辞典を残さないと死んでも死にきれない」と語っていた。
 次の②取引すべきではない会社では、プレゼン資料に「協力企業・仕入先を大切にしているか否かの50の指標」をあげた。まず「誰かの犠牲のうえに成り立つ経営は間違っている」「取引先や協力会社の支持がない会社に未来はない」とする一方、「いい人間になりたければいい人間と付き合うこと、いい会社をつくりたければいい会社と付き合うこと」として説明を始めた。
 この中で日本の工場数(従業員数3人未満を含む全数)が2016年には35万とピークの1983年の78万から半分以下に減少していることを指摘したうえで、「その要因は受注側にもあるが発注側にもある」と具体例を説明した(50の指標のうち一部は、全体の文字数の枠内で文末に記述した)。
 ③のいい取引の事例については、プレゼン資料には「協力企業・仕入先を大切にする企業」として学会の全国大会の企業見学会(9月6日)の訪問先の廣野鐵工所(岸和田市)など10社をリストアップ、石油ファンヒーターのダイニチ工業(新潟市)は冬物商品を扱っていながら年中平準生産をしているなどと事例を説明した。
 この後、恒例のことだが研究会は、講演について議論をした。その様子のごく一部を伝える。
 本題の「協力企業・仕入先を大切にしているか否かの50の指標」をめぐっては、①いわば強者側の企業にいるメンバーからは「(これらの取引は)普通にやっていること」との指摘があった。坂本会長の「異常が長く続くと正常に見える」状況ともいえる。また取引の現状を全面否定していることに対して、NGではなく、グッドの事例集にすべきではないか、という指摘もあった。
 さらに、②坂本会長の主張を是としても、これらのことを支援先にストレートに言っても聞く耳がなければ反発されるだけであり、例えば相手が地域企業の経営者であれば、現実に存在する「いい会社」の事例をお伝えして、そうした「いい会社」を見てもらう、ということが大切ではないか、という指摘もあった。
私自身は、この指標を後で読み返しながら、③取引先の良し悪しの選別のチェック項目として使えると思った。悪い会社はいずれなくなる。すぐには取引先を変更できなくても、備えはできるだろう。
 さらに私は②や③については、間違った経営に日頃ふれている診断士についても言えると思った。もともと診断士の支援先は間違った経営を行って業績に苦しんでいる会社が多い。
 ふつうの診断士が見ている世界は坂本会長が見ている世界とはかなり違うはずだ。大賞の受賞企業のような人本経営を行う「いい会社」を視察することはあまりないだろう。
 そういう中で、坂本会長の診断士向けメッセージを私なりに解釈して、講演の演題に似せて表現すると「いい会社をつくりたければ、いい会社と付き合おう」ということになるのではないか。そうした意味で、学会の会員企業のみなさまには、志ある診断士とご協力して頂ければ幸いである。
神原哲也(人を大切にする経営学会会員、中小企業診断士、認定経営革新等支援機関、日本記者クラブ会員)

協力企業・仕入先を大切にしているか否かの50の指標(抜粋)
1常識を大幅に下回る低単価発注をする会社
3自社と同規模、または小さな会社に対して仕事の対価を手形で払う会社
5締め後の支払いが30日以上の会社
7発注者の利益率は高いのに協力企業の利益率は極端に低い、または赤字の会社
10見積書に協力企業のまともな利益の計上を認めない会社
17毎年のようにコストダウンを要請する会社
19協力企業の経営努力でコスト改善したにもかかわらず新たな低単価発注をする会社
25発注者に倉庫や在庫がなく協力企業にはある会社
26時間を指定し1日に何回も納品させる会社
27協力企業の開発コストや未来経費をコストとして認めない会社
28季節商品とはいえその時期に集中発注する会社
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