経営学の転換期:米国でも人を大切にする経営が広がっている。
人財塾では、毎回素晴らしい経営者の皆様に講義して頂きます。どの講義も最初から最後まで聞き手の心を捉えて離さない素晴らしい時間です。それぞれ講師の人生経験に基づき語られる内容はとても重たいものが多いのですが、いずれの講師も温かでユーモアに溢れる語りによって笑いを交えながらお話しされるため、毎回、大変申し訳ないと思いつつも楽しささえ感じる時間です。
とことん人を大切にする経営を実践されている経営者の皆様は、人生において大変な苦労を経験されており、世の中のあらゆることに感謝していらっしゃる点が共通していると思います。大変苦しんだ経験をお持ちだからこそ他者に対して心穏やかに優しいのだと理解します。他方、辛い経験をしたことで、自身が受けた苦しみが社会に対する恨みとなって他者を苦しめる行動を取る方々がいます。その違いは何なのか。
日本国内にとどまらず、世界中で毎日のように人と人の繋がりが希薄になっていることが根本原因ではないかと感じる出来事がニュースで流れる度に、人に優しくなれる人とそうでない人の違いが何に起因するのかと日々考えています。社会に人をとことん大切にする経営者が増えれば誰もが幸せな世界になると確信しています。
8月20日の日経新聞(デジタル版)で「米経済界「株主第一主義」見直し 従業員配慮を宣言」との記事が掲載されたのを知り、資本主義の転換期を感じて衝撃を受けました。私は米国の経済至上主義に長らく反発を感じながらも、世界を牽引する大国であることから同国のことも知らなければと思い、米国へ留学した経験があります。実力がある者には国籍に関係なく広くチャンスが与えられること、自国が一番との確固たる自信にもとづき自己主張をすること、など日本が学ぶ点も多々あると感じたものの、自己の経済利益を最優先とする風潮は自分には合わないとの思いを持ったまま、約3年の滞在を終えて日本へ帰国しました。その後も経済至上主義のもとに格差が拡大し続ける米国に諦めを感じていましたが、前述のニュースを知って世界が変わりつつあることを実感し、大きな喜びを感じています。
人を大切にする経営学は、ここ数年で国境を越えて広がりつつあります。人を大切にする経営に対して最も共感を得にくいのではと感じていた米国もが変わりつつある今、人を大切にする経営が世界へ広まり、幸せ=働くことと一人でも多くの人が実感できることを目指して、人を大切にする経営を世界に広めていくことに貢献していきたいと思います。
人を大切にする経営人財塾 松久 知美
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