三和建設株式会社 基調報告【番外No78人を大切にする経営学会 全国大会2019/9/7】

(毎週火曜日に投稿しております元坂本ゼミ生通信です。今週は番外編として9月に開催された学会の講演からお届けいたします)

今回は2019年9月に大阪の立命館大学茨木キャンパスで行われた第6回全国大会の中から三和建設株式会社 代表取締役社長 森本尚孝氏の講演をご紹介させていただきます。

●概要 (現在のホームページから)https://www.sgc-web.co.jp/
本社 大阪本店大阪府大阪市淀川区木川西2丁目2番5号
ほかに東京本店、京都支店
設立 1947年(昭和22年)5月21日
代表者 代表取締役社長 森本 尚孝
資本金 1億円
社員数 124名(平成30年6月1日現在・常勤社員)
グループ従業員数 141名(平成30年6月1日現在・常勤社員)
売上 106億円
主な事業内容
・建設工事・開発・環境整備・その他建設に関する事業及びこれらに関する企画・設計・コンサルティング他一切の業務
・不動産の賃貸及び売買、斡旋仲介、不動産の保守・管理・運営に関する業務
・不動産事業に関する企画・コンサルティング業務

●建設業界と森本氏入社の頃
三和建設はゼネコンです。
ゼネコンとは工事一式を直接お客様から請け負う建設会社のこと。全国に約22,000社あります。
建設業界の市場規模50兆円、同社の売上は100億円ですからシェアは0.02%に過ぎないとお話されました。

森本社長は元大手ゼネコンから2001年に同社へ転職しています。
当時の業界は厳しい時期で売上と同じくらい借り入れがあったと言うことでした。社員の定着は悪く、新卒で10名採用しても3年以内に半分は辞めてしまい、時には全滅の年もあったようです。しかし残る社員もいたことから、“人だけが残った”との考えに至ったとお話されました。
巨大な建設市場の中で0.02%の企業は何を目指すべきか。
その答えは“人によって選ばれる会社として永続したい”ということ。
・会社が社員一人一人の成長をサポートすると同時に一人一人の社員が自立をめざす。
・会社が倒産しても生きていける人財をつくる。
そうなれば会社は永続できるだろうと考えたのです。

●特徴的なこと
・日報は社内SNSで全員にリアルタイムで公開
・年2回全員参加の会議を実施(費用以上に効果が大きい)
・社内手帳を作成、指針や理念が明記されている。掲載した文章は会社として公約したこととなり、責任が生じるという効果がある。
・社員140名のうち女性割合は30%。事務だけではなく営業、設計、現場などすべての職種に女性が配属されている。

●採用と学び
新卒採用は理念採用型です。
ある採用者は採用に費やした総時間は138時間でした。23日間を採用活動にかかわり、社内のあらゆる面を見て体験しています。ギャップがないから離職もないのです。まさに理念型採用です。
そして入社1年目は全員寮生活です。
個室はありますが、1階のリビングを通らなければ自室へ行けない構造で、必然的に交流やコミュニケーション醸造の仕組みがあります。
さらに社内大学があり、学び→現場での疑問→学びのサイクルができていることで、社員の成長を全社規模でバックアップしています。
一般の大学顔負けの立派なシラバスがあり、社内にいながら継続的な学びを提供した人財育成企業です。

●社会的な存在とは?
森本社長は、“貴方は何によって覚えられたいですか?”と問いかけました。
“ゼネコンは違いがわかりにくい。何でもできる=何もできないのではないか”とすら言います。
“何でもできる”ということは特徴がないということ。
“何が得意なのか特徴を出すことが大切”
一般の入札でわかる通り、建設業界はお金の判断基準しか提供できていないと言い、お金以外の判断基準を提示しなければならない現実が浮き彫りになりした。
その結果、三和建設は領域を絞り込み、食品工場の建設を得意分野にしたのです。
今では食品工場の分野では上位のシェアになっています。
  
同社が建設したサントリー山崎蒸溜所

●最後に 働き方改革を越えて(第6回全国大会テーマ)
森本社長は、企業側がどういう働き方をする会社でありたいか明確にすべきだとお話されました。
単に指標として残業〇時間以内、有給取得〇日などの数字が先行してはダメで、“この仕事は残業してでもやり切りたい”という想いやそのような経験が社員の大きな成長につながることも重要な事実です。同時に、17時には帰宅できることが重要な社員もいることも大切な事実です。
そのような状況も十分考えた上で社員とさまざまな関係をつくることが大切だとメッセージされました。

同社の経営理念“つくるひとをつくる”に直結した一貫性のあるお話でした。

***補足***
この投稿では2012/4~2018/3までの6年間法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室で経験した【いい会社視察】・【プロジェクト】・【授業で学んだこと】を中心に、毎週火曜日にお届けしております。個人的な認識をもとにした投稿になりますので、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(人を大切にする経営学会会員;桝谷光洋)
 

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