ワークスみらい高知【No88いい会社視察2012/9/2】

今回は2012年9月に坂本ゼミの四国合宿先としてご訪問した『NPO法人ワークスみらい高知』さんをご紹介致します。
視察に伺った時には、障がい者120名、職員120名の組織でした。地域になくてはならない存在であり、ここで働くことが障がい者ご本人だけでなくやそのご家族にも誇りとなっている、そう感じた視察でした。

●概要 (http://www.worksmirai.com/
特定非営利活動法人ワークスみらい高知
代表者 竹村利通
法人認定日 2004年1月15日
目的
 この法人は、障がい者を雇用しようとする、または雇用している企業に対して、障がい者雇用のための支援事業を行うほか、社会環境作りのための政策提言や必要に応じた共同事業、更には就労を希望する障がい者および支援する関係者の人材育成にも取り組むことにより、企業の社会貢献と障がい者の社会的自立を一層進展させ、もって公益の増進に寄与することを目的とする。
主な事業内容
 企業及び団体等を対象にした、障がい者雇用創出及び安定のための調査・相談・支援事業
 就労支援関係者の人材育成事業
 障がい者の雇用創出及び就労支援事業
 福祉就労支援事業
 生活支援事業
基本理念
 Not Charity But Chance!(保護より機会を!)

●竹村利通さんの経歴
竹村利通さんはソーシャルワーカーとして高知市の病院に勤務。退院した患者さんが社会になじめずに再入院する姿を目の当たりにして、受け入れる地域に受け皿が必要だと考えました。地域の在り方を考えるために3年間勤務した病院を辞め、高知市の社会福祉協議会に転職しています。
社会福祉協議会では“かわいそうな障がい者のために何かしてあげる”という目線に直面しました。内職作業が与えられ時給50円~100円の工賃を払います。職員たちは障がい者やその家族から先生と呼ばれ、工賃とは数十倍の給与が保証されている現状に問題意識を感じていきました。
例えばティッシュ詰め作業1000個の場合、障がい者が16時までの利用時間に800個できたとすると、納期がせまっている場合には、職員が残り200個を残業して作業しています。もちろん職員の給与は障がい者と同じ工賃の扱いではありません。
竹村さんは15年勤めた社会福祉協議会を2004年に退職し、起業という道へ進みました。

●NPO設立、有限会社設立
竹村さんは当初、地域の商工会のお付き合いをみていて、“毎晩飲んでいるくらいだから自分も商売できるだろう、利益をだせるだろう”と軽く考えたそうですが、半年間で3000万円の赤字。はじめて経営の難しさを知ったといい、この失敗は大きな教訓となりました。
その後、お父様に300万円をかりて、m’s kitchen(お弁当屋)を開業。ご自身の給与がでるまで1年ちょっとかかったと言いますが、20万円の給与がでたときの充実感は忘れないとおっしゃっていました。
そして食品工場やカフェなどを開業していきました。月商が1200万円になるお店もあります。
高知では長年の風潮として障がい者や車いすの人に対して、親や回りが“見てはいけない人”と考えて、子供に“見ないように”接している文化があると言います。そのような風潮はきっと高知だけではないはずで、私自身も幼い頃東京で“微妙な空気”を感じた記憶が微かにあります。
竹村さんはそんな風潮を変えたかったと言います。お店の中にはバックヤードをガラス張りにして一般客からケーキの製造風景を見えるようにしているところもあります。障がい者自身が自慢できる職場にしたかったのです。
また美術館には1億円以上の設備投資をしていました。そこで働く知的障がい者の親御さんからは、“息子が美術館で働けるとは思わなかった。ありがとう。”竹村さんはその言葉に“やって良かった、救われた”とおっしゃいました。

●就労支援センター設立
同センターでは送迎サービスはしていません。障がい者もバスや電車で通える立地に設立しています。一般には送迎をすることが多いですが、“本人のできる力を育てる”と考えています。
ここでは社会で生きていくための支援をしています。中には初歩的なことから教える場合もあります。
髪がボサボサの人
パジャマのような服装でくる人
来てから歯磨きをする人
いままで特に教わらず、意識せずに育っているのでしょう。
ここでは社会との接点やできることを増やし、点をたくさん作る作業がつづきます。そして点を線にしていき、線はきっといつの日か面となって社会に繋がっていくはずです。
竹村さんは、このセンターを通して社会へ飛び込んでいく障がい者を輩出しています。
社会のいたるところに障がい者がいる社会。いたるところで障がい者が働いている社会。障がい者が今いない職場に行ってほしい、そう願っていました。

●最後に
“福祉の人は優しすぎる。障がい者のことを知りすぎていて先回りしてしまう。さまざまな作業をやらせなさすぎる。やらせてみて失敗させて成長させることが大切。”
“私にとって仕事は社会に何かを伝えること”

竹村さんのそんな言葉がとても印象的でした。

***補足***
この投稿では2012/4~2018/3までの6年間法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室で経験した【いい会社視察】・【プロジェクト】・【授業で学んだこと】を中心に、毎週火曜日にお届けしております。個人的な認識をもとにした投稿になりますので、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(人を大切にする経営学会会員;桝谷光洋)

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