「いい会社」による社会貢献(続き)

 人を大切にする経営学会人財塾生の松久です。2019年4月からはじまった第二期人財塾は、先日2月15日に最後の講義を終えて、3月13、14日のプロジェクト研究発表を残すだけとなりました。以前、本ブログで私のプロジェクト研究テーマについて紹介をさせて頂きましたので、進捗状況をご報告いたします。

 “いい会社は、当たり前のこととして自然体で社会貢献を実行している”ことを実証するために、当初はいい会社による社会貢献の事例をまとめることを考えていました。しかし、いい会社の取り組みについては、坂本先生と坂本先生のもとで学ばれた先輩の皆様が既に多数かつ詳細に書籍等で世に紹介していることから、当初のアプローチでは、それらの取り組みを社会貢献という視点で分類しなおすだけであり、視点の新しさはなく、いい会社が自然体で社会貢献に取り組んでいることの実証としては説得力が弱いと判断しました。
 では、どうすればいい会社は自然体で社会貢献を実践していることを、より明確にすることができるのか?再び試行錯誤のうえ、SDGsへの貢献度を測る指標を適用して、「いい会社」は社会課題の解決に貢献していることを示すことにしました。

 国連が地球全体で社会課題に取り組むための目標として、2015年9月にSDGs:Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)を提唱したことを受けて、日本政府は2016年5月にSDGs推進本部を設置して、民間企業との連携によって国内外でSDGsを推進する方針を提示しました。さらに2017年に世界経済フォーラム(WEF:World Economic Forum)がSDGsに関連する市場規模は12兆ドル、雇用創出は3億8千万人と発表したことから、現在では世界中が新たなビジネスチャンスとしてSDGsに注目しています。世界が注目するSDGsの国際基準によっていい会社を評価することで、いい会社は世の中のSDGs熱に加わることなく淡々と自社の経営を続けていても、しっかりとSDGsに貢献していることが言えると考えました。
 具体的には、世界経済フォーラム(WEF:World Economic Forum)の年次総会(ダボス会議)において、2005年以降、毎年発表している「100 Most Sustainable Corporations in the World(世界で最も持続可能性のある企業100社)」(通称Global 100 Index)と「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」の評価項目・方法を比較してみました。両者の評価項目を比較すると、数は少ないものの、下表のとおりいくつかの項目は共通しています。

 「Global 100 Index」は足切りの数値基準を設けずに点数評価で順位をつけるのに対して、「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」は各項目の最低基準となる数値を設定して、基準値を満たさない場合は、その時点で審査から除外します。また前者の審査プロセスは第2次までなのに対して、後者は第3次まであり、加えて現地ヒアリングを実施します。このことから、「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」の審査の方が「Global 100 Index」よりも厳しいと言えるでしょう。
 さらに、2020年1月のGlobal 100 Indexにランクインした日本企業6社:積水化学工業(12位)、武田薬品工業(68位)、コニカミノルタ(72位)、花王(86位)、パナソニック(89位)、トヨタ自動車(92位))に対して、「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」の審査方法に基づいて評価した内容は以下のとおりです。評価に採用した項目は、「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」の審査項目からインターネット調査で情報入手が可能なものを抽出しました。
 世界経済フォーラムが世界を代表するSDGs貢献企業とされた6社のうち、日本でいちばん大切にしたい会社大賞の受賞基準としている数値を全て満たす企業はありませんでした。

 今後は、以下を予定しています。
・「Global 100 Index」の審査基準に基づいて「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」を受賞した企業を評価します。受賞企業はいずれも高得点を得ると想定されるので、SDGsを意識していなくとも、人を大切にする経営を実践する企業はSDGsへの貢献度が高いことを明らかにできると考えます。
・「いい会社の100の経営指標」とSDGsの17のゴールおよび169のターゲットを関連づけて整理します。これにより、企業は100の指標に沿って「人を大切にする経営」を実践すれば、SDGsに精通しなくとも自社のSDGsへの貢献度を把握することが可能になり、対外的に表明できるようにしたいと考えます。

 人財塾二期生としての学びはこの3月で終了しますが、引き続き人を大切にする経営を広めるために、できることから取り組んで行きたいと思います。

人を大切にする経営学会人財塾生 松久 知美

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