小規模事業者が目指す「日本でいちばん大切にしたい会社」指標の抽出を試みて

人を大切にする経営学会・人財塾の2期生として、坂本先生のもとで素晴らしい仲間とともに1年間学びました。人財塾では、各自が持っている課題についてプロジェクト研究発表が修了に必須です。修了の寂しさとともに、少しほっとしている今、プロジェクト研究を振り返り、考察してみたいと思います。

私は、中小企業診断士・経営コンサルタントという仕事柄、起業間もない事業者、小規模事業者に接して支援する機会が多いため、小規模企業が成長して良い企業を目指して、坂本先生が提唱されている「『日本でいちばん大切にしたい会社』がわかる100の指標」を取り上げたいと考えました。100の指標は、いい会社を目指すための自己診断の方法として、「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の応募資格・審査基準をさらに広く深化させているものです。10のカテゴリーでそれぞれ10項目、計100項目の指標が示され、評価を点数化します。
 しかし、経営資源が乏しい小規模事業者にとっては、いきなり100個の指標で評価するのはハードルが高すぎます。小規模事業者でも取り組める項目を抽出することで、自らの経営を評価できる指標とし、良い会社・事業者として現状を確認し、成長の参考にできるようにしたいと考えました。
 指標抽出の基準は、①規模(定量的選択)、②カテゴリー重要度(定性的選択)の2つの視点から検討しました。
 小規模企業は個人事業形態が多いこと、従業者数の規模は小さく(平均従業者数3.4人)、常用雇用者の無い事業者が多い(常用雇用者の無い事業者の割合44.3%)ことから、ある程度の規模を有していることを前提とした指標は省略しました。例えば「社員が自社株を保有できる制度があり、血縁の無い社員出身の取締役がいる」「組織図は顧客や社員が最上位の逆ピラミッド図である」「女性管理職が全管理職の20%以上である」「障がい者雇用率は過去3年間法定雇用率を上回っている」など10項目を省略しました。
 次に、10のカテゴリーから最低一つは選定することとしても、カテゴリーごとに比重をかけて抽出する必要性がありました。そこで、「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞のランクの高い賞を受賞した企業でも、評価が×ばかりだった項目などは、小規模企業では殊更クリアすることは困難であることから省略するなど、カテゴリーごとに抽出項目を選定し、最終的に100項目の半分、50項目を抽出しました。
 ちなみに、自社で評価したところ、50点中20点でした。個人事業で雇用が無いため、採点できない項目があることも影響していますが、それを除外しても良い会社には程遠いと反省しました。

さて、今回の取組みについて、残してしまった課題としては、次の2点があります。
 1つめは、当初30項目を目指していましたが、50項目と半数の抽出しかできなかったことです。50項目では小規模事業者にとっては未だハードルが高いと思われます。
 2つめは、小規模事業者の多様性(法人・個人、常用雇用の有無)や、開業からの期間、成長タイプ(高成長型・安定成長型・持続成長型)などを考慮したフィールド調査が不十分でした。
 人財塾3期でも引き続いて学ぶ予定のため、自社の評価向上に優先順位を付けて取り組みたいと考えています。さらに、小規模企業でも評価点が高い事例や、果敢に障がい者雇用や社会貢献に取り組んでいる事例など複数のフィールドワークを行い、30項目への抽出を試み、指標の活用を模索していきたいと思います。

 人財塾3期開講が5月に延期となったのは大変残念ですが、新たなメンバーとともに坂本先生のもとで学ぶ時間を持つことを楽しみにしています。

人を大切にする経営学会人財塾生 有村 知里

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