“経営者のノート”を読んで、改めて「社員をたいせつにする」意味を考える

 人を大切にする経営学会(以下“経営学会”) 坂本光司会長の著書「経営者のノート」が出版されました。会長が、8,000社以上の企業を訪問・研究して“100の指針”としてまとめられた本です。①企業のあり方、②経営者のあり方、③企業のやり方、④企業と社員について、⑤正しくあることについて、という5つの視点から簡潔に纏められており、私のような愚鈍な者でも理解し易く読みやすい本となっていますが、この本の本質は「“エピローグ”に集約されている」と個人的には感じています。その理由に触れたいと思います。

 私は、今から10年ほど前に坂本会長のご講演をお聴きする機会があり、そのご縁で昨年度“経営学会の人財塾”に入塾させて頂きました。それまで、大きな組織の中で働いてきましたが、どうしても納得できないことが何度かありました。

 その1つが、1990年代の終わりに経験した「社員のリストラ」でした。当時、私は800名程の組織のスタッフをしておりましたが、全国的な不況の影響で我が社も社員のリストラを進めました。昨日まで一緒に働いてきた優秀な仲間もリストラの対象となって会社を去るのを目の当たりにして、私はどうしても納得がいかず、組織トップと度々議論を致しました。当時の私は勿論経営者でもなく唯のマネージャーの端くれでしたので、残念ながら私の主張は取り上げて貰えませんでした。
 会社を去った人たちは、全て優秀で、今まで会社の経営方針に沿って真面目に業務を遂行されてきた貴重な人財です。業績悪化は、どう考えても彼らの責任ではありません。内部留保がある程度ある会社で、なぜ彼らが会社を辞めなければならないのでしょうか?しかも、その時の経営者もマネージャーも誰1人として責任を取る人はいませんでした。私は、どうしても最後まで納得が出来なかったのです。

 “経営者のノート”の「エピローグ」には、以下のように書かれています。
○その“考え方・進め方”は、「正しいことなのか、自然なことなのか
○“企業の目的”は、「その組織に関係するすべての人々の永遠の幸福の追求・実現です」
○(一方的な)「“リストラ”は、企業を内部から崩壊させる
○「誰も犠牲にしない経営」こそが、“正しい経営、自然な経営”である

 これらの言葉に触れ、私の胸に支えていたものが改めてストンと落ちました。その時の経営者が、現在“経営学会”を通じてご縁を頂いている経営者だったら“いかなる経営判断をされたか”と考えます。きっと、一時的に平均賃金を下げても「誰も犠牲にしない」意思決定をされたことでしょう。一部の日本企業が現在低迷しているのは、このような経営判断が出来なかったことが一因していると個人的には考えています。

 仲間が会社を去る前、幾人かから事前に相談を受けました。その後、年賀状を送付することで、その後の様子を感じることしか出来ませんでしたが、今でもご本人とご家族のことを考えると胸が痛くなります。

経営者には、自分の社員やその家族に決してこのような思いをさせないようにと、心からお願いしたいと思います。

人財塾二期生/合同会社VIVAMUS 中村敏治

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