女性管理職を増やすために
2020年8月19日の日経新聞に、2020年までに企業内女性管理職を30%程度に増やすとした政府目標について、帝国データの分析(有効回答企業数1万1732社)結果は、7.5%程度だったとのことです。また今後女性管理職の割合が増えると見込む企業も21.7%と低水準のままであることも判明しました。
女性管理職を増やす、という課題は会社が制度を作って、採用をしようと努力するだけで、容易に目標が達成できるというものではありません。私どもの弁護士会でも、会長、副会長に女性の方々になってもらうよう各弁護士会で目標を設定するものの、多くの方は、育児や子どもの面倒、親の介護などを夫よりも負担しているケースが多く、そのような状態で、役員会の業務内容、時間、頻繁に行われる様々な会食への出席など既存の「男社会」を前提とした仕事と同じ仕事をすることはできないとして、女性の方から断ってくるケースが多くあります。
私企業でも同じ事だと思います。女性管理職に就任してもらうためには、単に業務の内容や時間に配慮するだけでは足りず、家庭内における女性の役割を減らすことや、減らすことについて非難されることのない社会であることが必要となります。その点で、日本はまだまだ後れていると言わざるを得ません。
女性が社会進出することについて、ネガティブな人は男性だけに限らず、女性の中にもいらっしゃいます。未だに「働くのは男性である夫の役割であり、女性は家庭を守る。」と考える方がいらっしゃいます。そのような考えを否定するつもりはありませんが、そのような考え方が「あたり前」なのではなく、色んな考え方の一つとして位置付けられるべきです。
世の中には様々な考え方をもった人がいらっしゃいます。何が正しいかが明らかではない事項については、様々な考え方を許容する必要があります。許容しつつ、片寄のない社会が健全な社会なのではないかと思います。
男性であれ、女性であれ、働きたい人が働くことができ、管理職になりたい人とその能力をもつ人が管理職になれる社会をつくることは大切だと思います。
(学会 法務研究部会 常務理事 弁護士山田勝彦)
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