「強く生きたいと願う君へ」

坂本光司先生の著書の中で私が一番好きなのは、「強く生きたいと願う君へ」。くじけそうなとき、弱気なとき、読み返しては、心を立て直すのを助けてもらいました。

「強く生きたいと願う君へ」には、坂本先生が、40年以上、7000社以上の経営者・従業員の生き様を見てきて、つかみ取ったゆるぎない真実が書かれています。

それは、ずばり、「本当に強い人は、何があっても他者を責めません。そして、例外なく、どんなときでも弱者に優しい。そうでない者は、たとえ一時「勝者」であっても必ず滅びるのです。」という真実です。

「本当に強く生きる」ために大切にすべき15のことがらからなっています。15の見出しのタイトルは、

1 「なくてはならない人」になる。それが、「力」をつけることだ。

2 仕事を正しく定義する。そこに「生きる道」が拓ける。

3 いま戦うことが、強い生き方とは限らない。

4 人の器はみな同じ。そこに、何を入れるかで人生は決まる。

5 全体を見晴らしながら、「目の前の仕事」に全力を尽くせ。

6 現象に惑わされず、常に本質を見極めろ。

7 必ず、自分の眼でみて、自分の手で触れなさい。

8 耳は二つ、口は一つ。「声なき声」に耳を傾けなさい。

9 一%の素敵な人に会いたければ、百%の人々と会いなさい。

10 喜びも悲しみもともにする、そんなチームをもちなさい。

11 「強者」ではなく、「本物」をめざせ。

12 人生に遅すぎることはない。

13 涙の数だけ、人は強くなれる。

14 「痛み」を知りなさい。それが、君に力を与えてくれる。

15 人生でいちばん大切なものを知りなさい。

ちなみに、坂本先生は、授業開始直後、子供の詩を紹介してくれました。知識偏重の私からすると、初めは、「経営学の講義に何で子供の詩?」と首を傾げたものです。今は、「経営学は人間学」という考え方からすれば、納得がいきます。

先生が紹介してくれたのが、福島県郡山市の菓子店・柏屋さんが、60年以上にもわたり発行し続けている「子どもの夢の青い窓」という詩集です。その詩集についても、このご本に載っています。

「子どもの夢の青い窓」の初代編集長は佐藤浩さんという今は亡き詩人です。佐藤さんは鉄棒の事故で14歳で片目の視力を失い、26歳の時には全盲となってしまいました。佐藤さんが完全に両目を失明する1週間前に、お母さんが病院にお見舞いに来られ、帰られて佐藤さんが詠んだ歌がこちらです。

「母そはの 母の御顔の見納めと 残る視力を凝らし見守る」

佐藤さんの切ないほどの魂からの願いが感じられます。

坂本先生の授業では、こうして感動でひとしきり涙を流したあと、経営学の講義が始まる、そんなことが多くありました。

(人を大切にする経営学会 本田佳世子)

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